今や当たり前のシースルーバックだが、つまらぬムーブメントはシースルーにする価値がない。しかしモリッツ・グロスマンほどの名品なら見所は十分。伝統の2/3プレートやゴールドシャトン留めの穴石、見事な彫金入りテンプ受けや精密なマイクロレギュレーターなど“超絶技巧”が堪能できるシースルーバックは必然の産物だ。今回、モリッツ・グロスマンと共演した蛇の骨格は、現代に生きるほぼ唯一の自在置物作家である満田晴穂の作品。自在置物とは生物の関節・体節の動きまで再現した金工品であり、頂点は江戸から明治という。モリッツ・グロスマンの原点も同時代の懐中時計。これら偉大な遺産に現代の感覚と技術を注いで生まれた時計と自在置物というふたつの超絶技巧作品。そこに通底するのは過去への敬意と人の手技への絶対的な信頼に他ならない。 (名畑)

ベヌー 37

ベヌー 37
直径41㎜の従来の「ベヌー」の優れたバランスはそのままに、直径を37㎜に縮小。女性や腕の細い男性にもジャストな極上の着け心地を実現した。ダイアルのインデックスはこのモデルのために新たにデザインされたもの。手巻き。ホワイトゴールド、ケース直径37㎜、日常生活防水。税別320万円。
ベヌー 37
この時計を語る時、ムーブメントは外せない。ドイツ時計の伝統である2/3プレートの基本構造を持つこのムーブメントは、レディス・モデル「テフヌート」の自社製手巻きキャリバーをモディファイした「Cal.102.1」。7時位置のスモールセコンドを6時位置に変更し、輪列をほぼ一直線に配置したことで堅牢さも増したという。手で丹念に彫られたテンプ受けなど、芸術的な手仕上げをじっくりと堪能したい。

時計のお問い合わせ=モリッツ・グロスマン ブティック

Tel.03-5615-8185
www.grossmann-uhren.com/?lang=ja

満田晴穂《自在蛇骨格》

満田晴穂《自在蛇骨格》
2017年 銅、真鍮、青銅、銀 長130.0cm
こちらは現代作家、満田晴穂(1980年生れ)の超絶技巧。この蛇の骨格、全て金属で出来ている。使用したパーツの数はなんと約500。0.1㎜単位で調整してあり、「自在」というだけあって、生きているが如くに自由に動かすことができる。対してモリッツ・グロスマンの時計、見た目はシンプルながら、個々の時計師が各々のパーツを最後まで丁寧に仕上げているという。非効率を気にしないこだわりの時計づくりは、日本の職人のモノづくりの思想と同じではないか。「驚異の超絶技巧」展出品作。

特別展「驚異の超絶技巧!-明治工芸から現代アートへ-」

2018年11月16日(金)~12月24日(月) 富山県水墨美術館
2019年1月26日(土)~4月14日(日) 大阪・あべのハルカス美術館
2014年~2015年、明治工芸再評価の機運を大いに盛り上げた画期的な展覧会「超絶技巧!明治工芸の粋」展の第2弾。昨年9月から東京・三井記念美術館開催を皮切りに、全国5会場を巡回中。七宝、金工、木彫、漆工など、明治と現代の超絶技巧が対決する。