クリムトのこの作品に描かれる女性の名は、タイトルにあるようにユディト、旧約聖書・旧約聖書外伝「ユディト記」の主人公である。彼女は、敵の将軍の首を切り落とし、町を救った英雄。勇ましい女傑をクリムトは、裸婦として描いた。簡略化した線画を背景に、驚くほどに細かなタッチで描かれたユディトが浮き立つ。そしてジャケ・ドローは、スリムなフレームだけを残す透明感豊かなスケルトンに、オフセットしたダイアルを浮かべた。またメゾンが得意とするグラン・フー・エナメルの艶やかな質感は、ユディトが浮かべる妖艶な笑みにも似る。女傑を裸婦で描くある種の倒錯性は、本来主役の時分針を押しやり、秒針をアイコンとしたグラン・セコンドに相通じる。どちらの時計も、仕上げは最上級。その美観は、クリムトの作品のように官能的ですらある。 (髙木)

グラン・セコンド カンティエーム

グラン・セコンド カンティエーム
伝統的なグラン・フー・エナメルによるダイアルは、しっとりとした質感を浮かべる。グラン・セコンドのインダイアルの内側を窪ませて、そこにポインターデイトを巧みに融合した。日付インデックスと時・分インデックスとが重なる様子がユニーク。31にだけ用いた赤色が、効果的なアクセントになった。
自動巻き。レッドゴールド、ケース直径43mm、3気圧防水。税別217万円。
グラン・セコンド カンティエーム
高度な製造技術を必要とするグラン・フー(高温焼成)・エナメルによるダイアルは、ジャケ・ドローの白眉。温かく美しいアイボリー・カラー見る者すべてを魅了する。このモデルのダイアルは、そんな高温焼成作業をメインのダイアル、インダイアルで別々に行っているため、重ねられた垂直面にはくっきりと角が出る。これぞ手間をかけて作られている証左だ。

グラン・セコンド スケルトン

グラン・セコンド スケルトン
モダンなスケルトンが増えている中、古典的な設えが却って新鮮である。ギリギリまで肉抜きしたフレームが、オフセットダイヤルを宙に浮かべるように支える。グラン・セコンドのダイアルは透明なサファイアクリスタル製として、その下側にも機械の動きを見せる。裏蓋側も透明感豊かに設えられている。
自動巻き。レッドゴールド、ケース直径41mm、3気圧防水。税別366万円。
グラン・セコンド スケルトン
クラシックな雰囲気のモデルが多いジャケ・ドローの時計の中で、もっともモダンな雰囲気を持つのがスケルトン・モデル。こうして光を当てると、わずか数ミリのパーツひとつでも、その部分の機能に合わせて仕上げを変えているのが分かる。18Kレッドゴールド製の自動巻きローターも、シースルーの雰囲気を邪魔しないよう極力大きくくり抜かれている。

時計のお問い合わせ=ジャケ・ドロー ブティック銀座

Tel.03-6254-7288
www.swatchgroup.jp/jaquet-droz

グスタフ・クリムト《ユディトⅠ》

グスタフ・クリムト《ユディトⅠ》
1901年 油彩、カンヴァス 84×42cm ウィーン、ベルヴェデーレ宮 オーストリア絵画館蔵
撮影・筒口直弘(新潮社) © Balvedere, Vienna
ウィーン世紀末美術を代表するクリムト(1862~1918)の傑作。ジャケ・ドローの時計が持つ、端正でありながら謎めいたイメージは、画家の官能的なこの作品に相通じるものがある。色彩的にも煌めく世界観が重なった。来年4月、東京都美術館で開催される「クリムト展」出品作。

「クリムト展 ウィーンと日本1900」

2019年4月23日(火)~7月10日(水) 東京都美術館 klimt2019.jp
2018年に没後100年を迎えたクリムト。ヴェルヴェデール宮オーストリア絵画館所蔵の 作品を中心に、日本では過去最多となる20点以上の油彩画が揃う。