【12月3日 AFP】フランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は2日、首都パリ各地で起きた暴動による被害を視察した。その後緊急会議を開き、2週間にわたって抗議デモを展開してきた反政府活動家らとのさらなる対話を行っていく方針を示した。

 マクロン大統領は同日、有名なシャンゼリゼ(Champs Elysees)通りの起点に位置し、無名戦士の墓碑が安置された凱旋(がいせん)門(Arc de Triomphe)の被害を視察。暴動の最中に落書きされ、切符売り場と受付付近が荒らされている。

 さらに大統領は、暴動で燃やされた車や破壊された建物も見て回り、警察に対してねぎらいの言葉をかけた。群集の一部からはブーイングが起こった。

 パリ市警によると、近年市内で起きた中で最悪規模となった衝突で12月1日だけで412人が逮捕され、今も378人が留置されているという。また負傷者は全国で計263人に上り、うちパリ市内でけがをした人は治安部隊の23人を含む133人だった。

 マクロン大統領はこの暴動への対応を話し合うため、エドゥアール・フィリップ(Edouard Philippe)首相や内相、治安当局幹部らと協議。

 エリゼ宮(Elysee Palace、大統領府)によると、マクロン氏はフィリップ首相に対し「一貫して対話を求めていく方針」に基づき、デモ主催者や各政党の党首らと面会するよう要請したという。

 政府の燃料税引き上げへの抗議からマクロン氏の政策に対する怒りへと変化してきた今回の一連のデモを受けて、政府は非常事態を宣言する可能性も排除していない。

 野党の政治家らは暴力を非難する一方で、政府の対応を批判。極右政党「国民連合(RN)」のマリーヌ・ルペン(Marine Le Pen)党首と極左政党「不屈のフランス(France Insoumise)」のジャンリュック・メランション(Jean-Luc Melenchon)代表は2日、解散総選挙を要求した。

 世論調査によると、暴動にもかかわらず国民の3人に2人がデモを支持しているという。(c)AFP/Fabien Zamora and Adam Plowright