身長201センチのワイルダーがジョシュア戦の挑戦権を獲得するためには、同206センチの上背を誇るフューリーを打ち負かすことが絶対条件となる。フューリーは3年前、ウラディミール・クリチコ(Wladimir Klitschko、ウクライナ)を下し、WBA・IBF・WBOヘビー級王座に加え、IBOとリニアルタイトルも獲得した。

 ところが、フューリーはその後、そううつ病やアルコールと薬物の依存症に悩まされ、頂点の座から一気に転落することになる。薬物検査で2度失格になる中でこれらのベルトを剥奪されたほか、最近では自殺しようとしたことも明かしており、「とにかく、死にたくてたまらなかった。人生を諦めたんだ」と話した。

 しかし、自分の中に潜む悪魔に打ち勝ち、プロライセンスを取り戻すと、フューリーは今年はじめに2年ぶりに競技に復帰。4月にはアルバニアのセフェル・セフェリ(Sefer Seferi)を4回でノックアウトすると、8月にはほとんど無名のフランチェスコ・ピアネタ(Francesco Pianeta、イタリア)に判定勝ちを収めた。

 元ヘビー級王者のレノックス・ルイス(Lennox Lewis)氏やイベンダー・ホリフィールド(Evander Holyfield)氏、そしてタイソン氏が、フューリーのスキルとパワーがワイルダーを上回っていると確信している一方で、復帰は時期尚早だと懸念する声も上がっている。

 英国のヘビー級のボクサー、デレック・チソラ(Dereck Chisora)は「俺はいつだって(英国旗の)ユニオンジャック(Union Jack)を応援している」「しかし、フューリーがファイトに臨むのは早すぎる。ワイルダーに倒されたら、それでおさらばだ」とコメントした。

 その一方で、ルイス氏とホリーフィールド氏は、フューリーが終盤のラウンドまで持ち込む能力を発揮し、ワイルダーの右をかわすことができれば勝利の可能性はあると確信している。

 しかしながら、ワイルダーは3月にキューバの強豪ルイス・オルティス(Luis Ortiz)を10回TKOで下しており、長期戦に持ちこたえられる能力を十二分にみせた。

 28日のフェースオフでは、フューリーに挑発されて怒り心頭に発した様子をみせていたワイルダーは、容赦なく相手を倒すことを明言し、「あいつの尻をぶちかまして、ノックアウトしてやる」「これは間違いないことだが、あいつは倒れ込むだろう。そのタイミングは分からないが、必ずそうなる」と言い放った。(c)AFP/Rob Woollard