【12月3日 AFP】内戦下の中東イエメンから数百人の難民が韓国に到着したとき、彼らがイスラム教徒であることを理由に受け入れに反対する声が上がり、難民申請は一件も認定されなかった。一方、そのすぐ後に、キリスト教に改宗したイラン人の10代の少年による難民申請は認められたことが議論を呼んでいる。

 韓国政府の統計によると、国民の4分の1以上が、自分のことをキリスト教徒だと回答している。民族的に均質な韓国社会には、移民を歓迎しない傾向もある。イラン人少年の難民申請は、韓国人の同級生らの支援活動が実を結んだが、これは珍しい出来事だと言える。

 少年は身の安全への懸念から「アントニオ」という洗礼名しか明らかにされていない。アントニオ君は2010年、7歳の時にビジネスマンの父親と共に韓国に来た。その2年後にカトリックに改宗し、2015年には父親もそれに続いた。

 だが、イランに住む親族は、2人がイスラム教を捨てたことに激怒した。イランでは、イスラム教徒による棄教は死刑になる可能性もある。アントニオ君親子は宗教上の迫害を理由に難民申請したが、韓国では難民申請が認められることはほとんどない。

 経済規模世界11位の韓国だが、2000~17年の難民認定数はわずか708人だった。これは全申請数の3.5%にすぎず、経済協力開発機構(OECD)平均の25%を大幅に下回り、世界でも最低水準にある。

 アントニオ君の難民申請について移民当局は、宗教的信念を持つには若すぎるという理由で却下し、5月には大法院(最高裁)も当局の判断を支持した。