【11月27日 AFP】ロシアが併合したクリミア(Crimea)半島沖でウクライナ艦船3隻がロシア当局に発砲・拿捕(だほ)された問題をめぐり、国連安全保障理事会(UN Security Council)は26日、緊急会合を開いた。米国のニッキー・ヘイリー(Nikki Haley)国連(UN)大使は「言語道断の主権侵害」だと非難。ロシア側はウクライナ側がロシアによる侵略をでっち上げたなどと反発した。

 ヘイリー大使は「米国はロシアとの正常な関係は歓迎する。だが、このような非合法な行動がそれを不可能にし続けている」と指摘。ロシア当局による今回の措置は「ウクライナ領に対する言語道断の主権侵害」であり、「ロシアの無謀さがまたも増長している」と厳しく批判した。

 ウクライナの国連大使はロシアに対する制裁の強化を訴えた。しかし、ヘイリー大使はロシアに対する追加制裁をちらつかせることは控え、2014年のクリミア併合以来、同地域をめぐり続いている緊張の緩和を呼び掛けた。

 一方、ロシアのドミトリー・ポリャンスキー(Dmitry Polyanskiy)は「架空の」ロシアによる攻撃が主張されていると反発。「わが国は自ら第一撃を加えることはないが、自分を守る方法は知っている」と述べた。また、ウクライナ側は戒厳令を出して、負けそうな大統領選の延期を狙っているとも主張した。

 マイク・ポンペオ(Mike Pompeo)米国務長官も声明を出し、「ロシアの侵略的な行動」を非難。ロシア側にウクライナ艦船の引き渡しと拘束された乗組員の解放を求めた。

 一方、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は首都ワシントンで記者団に「こうした事態は起きてほしくない」としながらも、「欧州も対処している」などと語り、欧州各国の政府が対処すべき問題との考えを示唆した。(c)AFP/Carole LANDRY