【11月27日 AFP】ウクライナ最高会議(議会、一院制、定数450)は26日、対ロシア国境地域に戒厳令を敷くことを承認した。ロシア軍が25日、クリミア(Crimea)半島沖のアゾフ海(Sea of Azov)に違法に入ろうとしたとしてウクライナ軍艦3隻を拿捕(だほ)したことを受けた動き。

 戒厳令の発令はペトロ・ポロシェンコ(Petro Poroshenko)大統領が要請したもので、期間は30日。激しい議論の末、276議員の賛成で可決された。これによりウクライナ当局は、従軍経験のある市民の動員や報道規制、集会の制限を実施する権限を得る。

 ロシア軍による地上侵攻が懸念される中、ポロシェンコ大統領はウクライナ全土に戒厳令を敷くことを求めたが、議会が反対。ロシアとの国境地域に範囲が限定された。

 同大統領は採決に先立ち、ロシア政府は「侵略の新段階に入った」と非難した。

 ウクライナ軍が警戒態勢を取る一方、ロシア国営ニュース専門チャンネル「ロシア24(Rossiya 24)」は、拿捕したウクライナ軍艦の水兵らに対するロシア治安機関の取り調べの様子を放映した。

 ウクライナ水兵の一人は映像中で「(クリミア半島とロシア本土を隔てる)ケルチ海峡(Kerch Strait)でウクライナ軍艦が取った行動は、挑発的な性格のものだった」と述べ、ロシア当局の主張に沿った発言をした。(c)AFP/Ania TSOUKANOVA