【11月26日 AFP】イタリア警察は21日、悪名高いマフィア一家がローマ郊外に違法に建てた邸宅8棟の解体作業に着手した。一方、立ち退きを余儀なくされた住人は非難の声を上げている。

 邸宅の壁が倒れると、カサモニカ(Casamonica)一家のメンバーから怒りの声が上がった。カサモニカ一家はシンティ(Sinti)人をルーツに持ち、ローマ市内で麻薬密売や詐欺、恐喝のネットワークを運営しているとされる。ローマ市役所との癒着が疑われている犯罪組織の一つで、2015年の大規模な汚職捜査でも議員らに影響力を行使したとみられている。

 クアドラーロ(Quadraro)地区にある邸宅は、歴史的な「フェリクス水道橋(Acqua Felice Aqueduct)」を取り込む形で違法に建てられている。20日明け方にビルジニア・ラッジ(Virginia Raggi)市長の指揮で行われた強制捜査には警察官600人以上が動員され、邸宅内にいた約30人を強制退去させた。

 警察官が金めっきが施された動物の像やシャンデリア、フレスコ画の複製などの家財を運び出す中、ローマの退廃をたびたび非難してきたラッジ市長は、「本日、最初の2棟の解体に着手した」と述べるとともに、「8棟全てを解体する。この地域をローマ市民の手に取り戻すまで、私たちは止まらない」と宣言した。

 重機によって解体作業が進められる中、邸宅から追い出されて頭を抱えてうずくまる住人もいれば、自分たちはまるで同国の独裁者ベニト・ムソリーニ(Benito Mussolini)政権下で迫害されたユダヤ人だと大声で叫ぶ住人もいた。

 2015年にローマで執り行われたボスのビットリオ・カサモニカ(Vittorio Casamonica)氏の葬儀では、ひつぎを載せた金色の馬車が市街を走り、ヘリコプターからはバラの花びらがまかれるなど、世間をにぎわせた。市内東部の教会の外には、カサモニカ氏を「ローマ王」と称するポスターが張られ、葬儀では映画『ゴッドファーザー(The Godfather)』のテーマ曲が流された。(c)AFP