【11月25日 AFP】24日に行われる予定だったリベルタドーレス杯(Copa Libertadores de America 2018)決勝第2戦、リーベル・プレート(River Plate)対ボカ・ジュニアーズ(Boca Juniors)は、リーベルのファンがボカ選手らが乗ったチームバスを襲う「恥ずべき」騒動の影響で順延が決まった。

 ボカのチームバスは、会場となるエスタディオ・モヌメンタル(Estadio Monumental)へ向かっている最中に襲撃に遭った。場所はブエノスアイレスの高級住宅街で、警官隊が先導していたにもかかわらず、「ペッパースプレーや棒、石」の集中砲火を浴びる事態となり、ガスを吸い込んだり、割れたガラスでけがをしたりする選手も出た。

 大会を主催する南米サッカー連盟(CONMEBOL)は、当初は試合開始を2時間以上遅らせる予定だったが、催涙ガスや割れたガラスの被害が選手にも及んでいたため、両クラブ合意の上で順延を決めた。決勝は同じモヌメンタルで25日午後5時(日本時間26日午前5時)にキックオフされる。試合の順延が決まった後には、スタジアムの外で警察と衝突していたサポーターから逮捕者も出た。

 ボカのダニエル・アンヘリチ(Daniel Angelici)会長は「非常に悲しい日だ。どのクラブにも一部の愚かな人間が存在する」「アルゼンチンの社会として恥ずべきことであり、これほど大切な試合の日程を変更せざるを得なかったのが悲しい」とコメントした。

 リーベルのロドルフォ・ドノフリオ(Rodolfo D'Onofrio)会長も「一人のアルゼンチン人として、またサッカー界のリーダーの一人として恥ずかしく思う」と話した。

 開始時間を遅らせる決定が出た時点で、ボカでプレーするベテランのカルロス・テベス(Carlos Tevez)は米フォックステレビ(Fox Television Stations)に対して「自分たちはプレーできる状態じゃない。それでもやらせようっていうのか」と不満を訴えていた。

 選手たちは割れた窓から入ってきたガスが目や口に入った。地元の病院で治療を受けてからスタジアムへ戻ったボカ主将のパブロ・ペレス(Pablo Javier Perez)は「四方八方から襲われた」とコメント。テベスも「病院から戻ったパブロは、目にガーゼを当てている」「体を切ったチームメートもいる。ガスのせいでちゃんと息をするのもやっとだ。こんな状況でプレーなんかできない」と話していた。

 CBのカルロス・イスキエルド(Carlos Izquierdoz)は、リーベルのファンが棒と石だけでなく、ペッパースプレーを浴びせてきたと話しているが、匿名のチームスタッフの一人は、警察がリーベルファンを追い払うために使った催涙ガスの間違いだと話している。

「モヌメンタル近くの通りは無法地帯になっていた。暴挙の数々に圧倒された警官隊は、リーベルファンを追い払うために催涙ガスを使わざるを得なかった」「それが風に流されて、割れた窓からバスの中に入ってきた」

 南米大陸の王者を決めるリベルタドーレス杯で、リーベルとボカが決勝で相まみえるのは史上初めてで、対戦が決まったときから、クラブチームの試合としてはアルゼンチンサッカー史上最大の大一番になると言われていた。ボカの象徴であるラ・ボンボネーラスタジアム(La Bombonera Stadium)で行われ、2-2の引き分けに終わった第1戦も大雨のため試合が順延になっていた。

 アルゼンチンでは、フーリガニズムへの懸念から、2013年以降は国内のすべての試合でアウェーサポーターの入場が禁じられているため、ボカファンが第2戦の会場に入ることはできない。(c)AFP/Cesar LOPEZ