■「共存の道を探すこと」

 公表されている数字によると、キューバのサッカークラブの登録者数が2万5000人まで増加している一方で、野球チームに所属する選手の数はすでに4万6000人に上っている。メデロス監督は、「野球は国技であり、そのことは誰にも変えられない」としながらも、隣国のベネズエラやパナマのように「野球と共存する道を学ぶ必要がある」と強調した。

 選手の亡命や国際試合の不足による影響で、キューバ代表のサッカーチームはカリブ海諸国で最も強いコスタリカと引き分けに持ち込んだ2004年以降、衰退傾向にある。しかし、2019年の北中米カリブ海サッカー連盟ゴールドカップ(CONCACAF Gold Cup 2019)に備える中、キューバ政府はこれまでの姿勢に変化の兆しを見せている。

 スポーツ体育レクリエーション庁(INDER)は、キューバを離れた現役アスリートへの門戸を徐々に開きつつあり、現在では亡命した選手に対して「裏切り者」や「脱走兵」といった言葉を使うことはない。

 INDERは、国外に拠点を置くサッカー選手の代表チーム招集を初めて承認。この動きに関しては、野球を含めた他のスポーツが興味深く見守っており、亡命したアスリートの社会復帰への道が開ける可能性がある。メデロス監督は、これは正しい方向へ進んでいる動きだとして、「われわれは、前向きなステップを踏んでいる」と歓迎している。(c)AFP/Moises AVILA and Rigoberto DIAZ