【11月22日 AFP】韓国のソウル中央地裁は22日、信者の女性8人をレイプした罪に問われたカルト教団「万民中央教会(Manmin Central Church)」の教祖、イ・ジェロク(Lee Jaerock)被告(75)に対し、禁錮15年の有罪判決を言い渡した。女性信者たちはイ被告を神聖な存在と信じていたという。

 イ被告は1982年、当時はソウルの貧困地区だった九老(Guro)に万民中央教会を創設。当初12人だった信者は、13万人まで膨れ上がった。教会のウェブサイトには照明に輝く壮大な教会堂の写真や、奇跡によって病が治ったという信者の声が掲載されている。

 しかし、セクハラ告発運動「#MeToo(私も)」の波が韓国にも押し寄せる中、今年になって信者の女性3人が、イ被告に呼び出されてレイプされたと告白した。

 3人は韓国テレビの取材に「逆らえなかった」「彼は国王以上の存在、神だった」などと語った。このうち一人は、子どもの頃から万民中央教会の信者だったという。また、別の一人はイ被告から、ここは天国なのだからエデンの園のアダムとイブのように裸になるのだと言われ、服を脱がされたと証言した。

 女性8人の刑事告訴に基づき起訴されたイ被告について、裁判所は、被害女性らに長期にわたり「何十回も」レイプやみだらな行為を繰り返したと認定。被害者らはイ被告を「天から力を授かった神聖な存在」と信じ込まされていたと指摘した。

 今や先進技術大国となった韓国だが、宗教を信じる人は多く、人口の44%が自身を何らかの宗教の信者だと認識している。多くは伝統的な宗教の主流派の信者だが、新興宗教の信者も増えており、詐欺や洗脳、脅迫などが横行するカルト教団も少なくない。

 韓国異端キリスト教研究所のパク・ヒョンタク所長によると、韓国にはカルト教団の信者が約200万人いる。キリスト教系カルト教団の教祖は約60人いて「神」や「イエス・キリストの再来」を自称しているという。(c)AFP/Park Chan-kyong