【11月22日 AFP】国際サッカー連盟(FIFA)のジャンニ・インファンティーノ(Gianni Infantino)会長が、FIFAの汚職スキャンダルが問題になっていた時期にスイスの検察トップと面会していたことが分かった。これを受けて、FIFA前会長のジョセフ・ゼップ・ブラッター(Joseph Sepp Blatter)氏は、インファンティーノ会長を調査するよう求めている。

 この件は内部告発サイト「フットボール・リークス(Football Leaks)」が明らかにしたもので、インファンティーノ会長は、スイス検察の幹部リナルド・アーノルド(Rinaldo Arnold)氏に便宜を図って、ミヒャエル・ラウバー(Michael Lauber)検事総長とのつながりを深め、汚職事件に関する極秘情報を回してもらおうとしていた可能性があるという。

 報道を受けてラウバー検事総長は21日、面会が事実であることを認めつつ、「複雑な案件ではごく当たり前」であり、面会を明らかにしたのは組織の「透明性」を保つためだと続けた。検察庁の監察組織は、ラウバー検事総長を調査対象とはしていないが、二人の面会の是非については審議中だと話している。

 フットボール・リークスによれば、二人が非公式に会ったのは2016年の春、つまりブラッター氏の下での汚職まみれの17年間が明らかになってFIFAの存在意義が揺らぎ、後任に当選したインファンティーノ氏が信頼を取り戻すと約束した数か月後の出来事だった。

 こうしたニュースの中で、ブラッター氏はAFPに対し、「FIFAの倫理委員会は行動を起こし、インファンティーノ氏の調査を始めるべきだ」と話している。

「彼が選挙期間中に説いた透明性はどこへ行った? 倫理委員会に対し、自らの潔白を証明すべきだ」「インファンティーノはラウバー氏と何回も会っている。一方で私は、2015年9月に司法手続きが始まってから、彼の取り調べを受けたことは1回しかない」

 スイス検察は、2015年5月にチューリッヒの高級ホテルに突入して複数のFIFA幹部を逮捕し、サッカー界の暗部を暴いて以来、この問題に関連して約25個の案件を個別に抱えている。ブラッター氏の他にも、FIFAの事務局長を務めたジェローム・バルク(Jerome Valcke)氏や、パリ・サンジェルマン(Paris Saint-GermainPSG)のナセル・アル・ケライフィ(Nasser Al-Khelaifi)会長もターゲットになっている。

 しかし裁判まで進んだ案件は一つもなく、ラウバー検事総長は仕事が遅いとの批判を受けていた。これに対して同氏は、いくつかの事案は2019年には解決するか、裁判に持ち込まれるはずだと答えていた。(c)AFP