【11月21日 AFP】サッカー国際親善試合が20日、各地で行われ、オーストラリア代表の最多得点記録保持者ティム・ケーヒル(Tim Cahill)が、通算108試合目となる自身最後の代表戦に臨み、感動の別れを告げた。

 オーストラリアはこの日レバノンと対戦し、帰化したマーティン・ボイル(Martin Boyle)の2得点などで3-0と勝利している。

 サッカルーズ(Socceroos、豪代表の愛称)が連覇を目指す第17回アジアカップ(2019 AFC Asian Cup)開幕を前にした最後の親善試合で、通算50ゴールの代表記録を持つケーヒルは、81分からプレーした。

 オーストラリアのグラハム・アーノルド(Graham Arnold)監督は、1-1のドローで終えた韓国戦から大幅に先発メンバーを入れ替え、先日市民権を取得したFWボイルを前線で起用。スコットランド1部リーグのハイバーニアン(Hibernian)に所属するボイルは、難民として南スーダンを逃れたアワー・メイビル(Awer Mabil)と並んでプレーし、ケーヒルが代表を引退したW杯ロシア大会(2018 World Cup)の後に欠けていた輝きをチームにもたらした。

 U-16スコットランド代表でプレーしていたものの、父親が豪シドニー生まれだったためオーストラリア代表になる資格を持っていたボイルは、先発デビューとなったこの試合の19分、距離のあるところからシュートを放つとこれが相手に当たってゴールに吸い込まれ、先制点をマークした。

 41分にはミロシュ・デゲネク(Milos Degenek)のヘディングがクロスバーをたたくと、ボイルがこれを押し込んでオーストラリアが2-0にリードを広げた。

 また後半には、途中出場となったマシュー・レッキー(Matthew Leckie)がボイルのお膳立てからすぐに得点を決め、3点目を挙げた。

 オーストラリアの勝利が確実になるとケーヒルが予定通りに途中出場を果たし、自身の故郷であるシドニーのファンの前で最後のプレーを見せた。

「史上最高のサッカルー(豪代表選手)」と広く認められているケーヒルは、自身が持つ得点記録を伸ばすことはできなかったが、観客から大喝采を受けるとキャプテンマークを渡された。

 試合後、ケーヒルは涙を拭いながら「ピッチ上で泣くのは初めてだが、このことを誇りに思う」と話した。

「緑と金(オーストラリアのシンボルカラー)のユニホームを着る時は、いつだって心を込めてプレーしてきた。ありがとう、オーストラリア」「ともに活動してきたチームメートとスタッフへ。みんながいなければ、私の存在はなかった」 (c)AFP/Martin PARRY