【11月19日 Xinhua News】中国科学院合肥物質科学研究院はこのほど、「人工太陽」と呼ばれる全超伝導トカマク大型科学装置「EAST」による摂氏1億度のプラズマ運転など複数の技術的な課題を突破したことを明らかにした。これにより得られた実験パラメーターは、将来の核融合炉の定常運転モデルに必要な物理条件に近づいており、将来の核融合炉実験に向けて鍵となる一歩を踏み出したという。

 EASTは同研究院プラズマ物理研究所の独自開発による磁気閉じ込め核融合実験装置。世界初の非円形断面全超伝導トカマクで、将来の核融合エネルギー商業化の目標の基幹科学問題に照準を当て、近年、高性能、定常、長パルスなどプラズマ研究面で複数の独創的成果を収めた。

 昨年、101.2秒の高閉じ込めモードの世界記録を打ち立てたのに続き、今年のEASTの実験では、高出力加熱下炉心の物理的メカニズム研究の一連の実験を重点的に進めた。定常RF波加熱などさまざまな加熱技術の高パラメーター下でのカップリングと電流駆動、プラズマ先進制御などの最適化を通じて、10メガワットを超える加熱出力を実現し、プラズマのエネルギー貯蔵を300キロジュールに増やした。また電子サイクロトロンと低クラッターの共鳴加熱下で、プラズマの中心電子温度が摂氏1億度に達した。

 同実験では高閉じ込め、高密度、高圧力比で、完全無誘導の先進的定常運転モデルが実現した。得られた正規化パラメーターは将来の核融合炉定常運転モデルに必要な物理条件に近づいており、現在進行中の中国核融合工学実験炉(CFETR)の工学・物理設計のための重要な実験根拠と科学的サポートを提供した。

 10月にインドで開かれた第27回国際原子力機関(IAEA)核融合エネルギー会議で、この実験成果は世界の研究者に幅広く注目され、高い評価を得たという。(c)Xinhua News/AFPBB News