【11月20日 CNS】中国国家林業・草原局の甘粛絶滅危惧動物保護センターと新疆野生馬繁殖研究センターの発表によると、同2地区で繁殖した野生馬の数は515頭に達し、ほか一部動物園で飼育される野生馬を含めると、中国に生息する野生馬の総数は世界4分の1を占め、世界で最も野生馬が生息する国となったことを明らかにしている。

 甘粛絶滅危惧動物保護センターの馬吉中(Ma Jizhong)主任によると、同センターで管理する野生馬の数は100頭を突破し、柵内で放牧されている43頭と野生に放たれた60頭を合わせると103頭におよぶ。

 同センターでは1990年から、米国やドイツなどから18頭のモウコウマを引き入れ、2010年、12年にはそれぞれ、シルクロードの一部分にあたる河西回廊(Hexizoulang)の最西端に位置する敦煌(Dunhuang)西湖自然保護区に28頭が放たれた。

 馬主任は、「現地の牧草地は素晴らしく、動物の生活に適している。繁殖状況は人工飼育よりもずっと良く、放たれた馬はその後自然繁殖で41頭の子馬を出産し、平均約95%以上の生存率に達した。しかし、管理施設などで放牧されている新生馬のオスとメスの比率は4対1で、オス馬に偏る現象が起きている」と話す。

 新疆野生馬繁殖研究センターの馬新平(Ma Xinping)主任によると、同センターでは現在、412頭の野生馬を管理している。1986年の設立以来、英国、米国、ドイツから引き入れた24頭の野生馬を基に、6世代667頭の野生馬を繁殖させた。子馬の生存率は90%以上で、現在、同センターは世界最大の野生馬の繁殖基地になっている。

 2001年8月には27頭の馬が新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)ジュンガル盆地(Junggar Basin)東部にある卡拉麦里山有蹄類野生動物自然保護区へ放たれ、中国では初となる、馬を野生下に放つ実験となった。

 それ以降、野生馬の個体数回復に向けた計画は第2段階へと入る。人工飼育による繁殖から野生に返す自然繁殖へと徐々に切り替わり、03年には自然繁殖における繁殖に成功。現在までに計16回、110頭の野生馬が放たれ、実地調査上での数多くの成功を収めている。

 モウコウマは現在、地球上で生息する唯一の野生馬で、原産はウイグル・ジュンガル盆地の北塔山(Beitashan)と、甘粛省(Gansu)粛北モンゴル自治県の馬鬃山(Mazongshan)一帯で、6000万年の進化史と原始的ルーツを残しながら世界に約2000頭が生息している。(c)CNS/JCM/AFPBB News