【11月13日 AFP】インドの首都ニューデリー当局は12日、ニューデリー首都圏で暮らすホームレスらに綿製のマスク1万枚を提供すると表明した。世界で最も汚染の深刻な大都市で生き延びる助けとするためだが、専門家らは、簡素な覆いでは煙霧に含まれる危険な物質を防ぐ役には立たないと指摘している。

 2000万人が暮らすニューデリーでは毎年冬の煙霧が極めて深刻で、大気中に含まれる汚染物質の量が安全基準の30倍を超えることもある。

 特に貧困層やホームレスは自動車や工場の排ガス、建設現場から出る粉じんが混じり合った有害な空気に恒常的にさらされ、最もひどい影響を受けている。

 デリー市都市保護向上委員会(Urban Shelter Improvement Board)のビピン・ライ(Bipin Rai)氏はAFPに対し、「汚染度が上昇しているため、ホームレスの家族や女性、病人、子ども」を対象にマスク1万枚を提供すると語った。

 専門家らは、配布予定のマスクでは、最も有害な物質である微小粒子状物質PM2.5を防ぐのにほとんど役に立たないと指摘しているが、ライ氏は「マスクやマスクの耐久性について意見を言っている専門家は、実際に試験をしたのか?」と反論。「試してもいないことに、どうして意見が言えるのか?」と述べた。

 デリーの米大使館が測定した12日のPM2.5の濃度は1立方メートルあたり378マイクログラムで、安全基準の15倍を超えた。(c)AFP