■体重と歌のうまさは関係あるのか

 英ロイヤル・オペラ・ハウス(Royal Opera House)は2003年、世界で最も有名なソプラノ歌手の一人デボラ・ボイト(Deborah Voigt)さんを解雇し、各方面から非難された。衣装のドレスが入らないことが解雇の理由だった。

 ボイトさんは契約解除金で胃バイパス手術を受け、後に新たな役を獲得した。

 別の世界的スター、ロシアのソプラノ歌手アンナ・ネトレプコ(Anna Netrebko)さんは、産休から復帰後、体重が13キロ増えていた。これにはファンも驚きを隠せない様子だったが、彼女は今まで一番うまく歌えていると述べ、反論した。

 しかし、この反論に対して一部の評論家からは、オペラというのは視覚的な芸術であり、出演者は演じる役に説得力を持たせなければならないと指摘する声が上がった。

 それでも、オロペーサさんは「体形を理由に他人を批判することは受け入れられない」と主張し、裕福なパトロンたちから、「『あの人やこの人のように太っていなくてよかった』と言われることにうんざりしている。そのようなことを言う権利があるとでも思っているのでしょう」と嫌悪感をあらわにした。

 ソプラノ歌手の体重とパフォーマンスとの関連性については、今もなお議論が続いている。

 オロペーサさんは、他人がどれだけ痩せているか気にしないと強調しながらも、自分が体形を変えたことはプラスの効果しかなかったと語る。

 痩せるために採った手段は、手術や厳しいダイエットではなく、マラソンだった。「マラソン(大会)に6回出た。週4、5日は走っている」と述べ、最近では、「舞台を走り回っても汗ばんだり、息切れしたりしない。普段からたくさん走っているから」と語った。

 オロペーサさんは今後、ジュゼッペ・ベルディ(Giuseppe Verdi)作曲のオペラ「リゴレット(Rigoletto)」出演のためローマに向かう。その後バルセロナで、ゲオルク・ヘンデル(George Handel)作曲のオペラ「ロデリンダ(Rodelinda)」の公演を行い、ブリュッセル、ピッツバーグ(Pittsburgh)と続く。

 この目まぐるしいスケジュールについては、「ノンストップ、これぞまさに歌のマラソン」と笑顔で話した。(c)AFP/Rana MOUSSAOUI