【11月8日 AFP】国際サッカー連盟(FIFA)のジャンニ・インファンティーノ(Gianni Infantino)会長は7日、新たに出場枠が拡大される計画のあるクラブW杯(FIFA Club World Cup)が、選ばれたエリートクラブによって構成される欧州スーパーリーグの脅威に対する完璧な防衛手段になるとの見解を示した。

「フットボール・リークス(Football Leaks)」による告発の一部として発行された書類によれば、欧州クラブの一部のグループは、欧州チャンピオンズリーグ(UEFA Champions League)に取って代わる、降格や昇格が存在しない排他的な大会の設立について議論しているという。

 1週間前にルワンダで開かれたFIFAの理事会でインファンティーノ会長は、クラブW杯と世界規模のネーションズリーグという自身の案について一切の決定を延期することで合意し、代わりにその案を検討する特別委員会の立ち上げを発表したばかりだった。

 この理事会の決定は、対決姿勢を示す欧州サッカー連盟(UEFA)の代表団が退席を示唆したためだと報じられているが、インファンティーノ会長は自身の腹案が最後には支持を得ると期待している。

 スイス・チューリッヒでAFPや他メディアに向けて行われたインタビューでインファンティーノ会長は、「クラブW杯こそが離脱の衝動に対する答えだ。クラブと(開発計画する)組織に巨額のマネーをもたらす」と話した。

 インファンティーノ会長は、クラブW杯の参加チーム数を現行の7から24(うち欧州から12)に拡大し、4年ごとに開催する計画を推し進めている。

 民間の投資家からクラブW杯とネーションズリーグに今後12年間で250億ドル(約2兆8000億円)を投資するオファーを受けているとインファンティーノ会長は明かしており、フットボール・リークスによると、その投資家にはソフトバンク(SoftBank)グループも含まれているという。

「スーパーリーグの設立を試みる動きは1990年代から存在しているし、それはいつもサッカーを統治するわれわれに委ねられることになる。われわれはクラブと世界のサッカーコミュニティーに利益をもたらすシステムのピラミッド全体を守るためにある」

「もしクラブが排他的なスーパーリーグを運営するのであれば、それは一部のクラブの利益にしかならない。FIFAがクラブW杯を運営すれば、それは各クラブと211のサッカー連盟の利益になる」

 一方で、2022年のW杯カタール大会(2022 World Cup)で参加国を48か国に拡大する可能性を否定したインファンティーノ会長はフットボール・リークスの批判に「不法行為はない」と反論した。

 フランスのニュースサイト「メディアパルト(Mediapart)」をはじめとする複数のメディアは、2014年に当時UEFAの事務局長だったインファンティーノ会長が、ファイナンシャル・フェアプレー(FFP)に違反したイングランド・プレミアリーグのマンチェスター・シティ(Manchester City)と「直接的に交渉を行った」と報じた。

 クラブ経営を監視するUEFAのクラブ・ファイナンシャル・コントロール・パネル(CFC Panel)を経由してインファンティーノ会長は、シティに対し「罰金額を6000万ドル(約68億2000万円)から2000万ドル(約25億7900万円)にすること」を提示したという。また、メディアパルトはフランス・リーグ1のパリ・サンジェルマン(Paris Saint-GermainPSG)にも同様の計らいがあったと伝えている。

 インファンティーノ会長は「FFPの規定では交渉と合意の可能性が認められている。そして誰が交渉を担当し、最終的な合意の議論をしたのか? それは組織だ」と反論した。 (c)AFP/Eric BERNAUDEAU