■黒人史上初の2人

 民主党のステイシー・エイブラムス(Stacey Abrams)氏(39)と、アンドリュー・ギラム(Andrew Gillum)氏(44)は選挙結果にかかわらず、歴史に名を残すことになるだろう。

 エイブラムス氏は黒人女性として全米初の州知事候補で、いまだ人種差別が残る南部ジョージア州で立候補している。最新の調査では、共和党候補のブライアン・ケンプ(Brian Kemp)氏を1ポイント差で追っている。

 フロリダ州タラハシー(Tallahassee)市の現職市長であるギラム氏は、同州初の黒人知事候補となっている。トランプ氏から猛烈な攻撃を受けながら、トランプ氏を支持する対立候補ロン・デサンティス(Ron DeSantis)氏を僅差で上回っている。

■女性の先駆けの2人

 共和党のマーサ・マクサリー(Martha McSally)氏(52)と、民主党のカイルステン・シネマ(Kyrsten Sinema)氏は、共に女性の先駆けと言える。

 トランプ氏を支持する下院議員のマクサリー氏は、米軍初の女性戦闘機パイロットだった経歴を持ち、「敵とエスタブリッシュメント(支配層)に戦いを仕掛ける」というスローガンの下、選挙戦を戦っている。当選すれば、アリゾナ州初の女性上院議員となる。

 マクサリー氏よりも10歳年下の民主党のシネマ氏は、上院議員候補として初めてバイセクシュアルを公言している。10代の頃は水も電気もない廃虚のガソリンスタンドで暮らしていたという生い立ちの持ち主だ。

■下院初のムスリム女性議員目指す、元難民のオマール氏

 イルハン・オマール(Ilhan Omar)氏(36)は波瀾(はらん)万丈の人生を送ってきた。8歳で家族と共にソマリアの内戦を逃れ、難民として米国に来た。10代の頃、ミネソタ州の大都市ミネアポリス(Minneapolis)に移り、その地で民主党から州議員となった。

 オマール氏の当選はほぼ確実視されている。当選すれば、米下院初のムスリム女性議員の一人となる。

 もう1人、下院初のムスリム女性議員となることが見込まれる候補は、民主党の牙城ミシガン州で立候補しているパレスチナ系米国人のラシダ・トリーブ(Rashida Tlaib)氏(42)だ。共和党の対立候補がいないため、不戦勝で当選する見通しだ。

■トランスジェンダー初の州知事目指す、クリスティン・ハルクイスト氏

 バーモント州で民主党から州知事に立候補しているクリスティン・ハルクイスト(Christine Hallquist)氏はトランスジェンダー(性別越境者)だが、選挙演説の際に自らの性的指向に焦点が当たることはほとんどないとAFPの取材に応えている。だが、トランプ氏から距離を置き、人気の高い共和党の現職フィル・スコット(Phil Scott)氏を破れば、米史上初のトランスジェンダー州知事として歴史に名を残すことになる。