【11月4日 AFP】18-19イングランド・プレミアリーグは3日、第11節の試合が行われ、レスター・シティ(Leicester City)は1-0でカーディフ・シティ(Cardiff City)に勝利。前週、ヘリコプターの墜落事故でウィチャイ・シーワタナプラパー(Vichai Srivaddhanaprabha)会長が死亡したレスターは、選手たちが悲しみの中で亡き会長にささげる勝利を挙げた。

 ウィチャイ会長は、前節ウェストハム(West Ham)戦の試合後、乗っていたヘリが本拠地キング・パワー・スタジアム(King Power Stadium)近くに墜落し、会長を含めた搭乗者5人全員が死亡した。悲劇を受けて、レスター周辺だけでなくサッカー界全体が1週間にわたって悲しみに包まれ、ミッドウイークのサウサンプトン(Southampton FC)とのフットボールリーグカップ(England Football League Cup 2018-19)は延期になったものの、週末のリーグ戦は通常通り開催された。

 試合は、皆に愛された会長を悼む雰囲気の強いものになったが、それでも2016年のプレミア王者は僅差の勝利を収め、順位を10位に挙げた。55分、ベン・チルウェル(Ben Chilwell)の正確な低いクロスにデマレイ・グレイ(Demarai Gray)がきれいにボレーで合わせると、このゴールが試合の決勝点となった。

 得点が決まるとグレイは天を仰ぎ、選手たちは守護神カスパー・シュマイケル(Kasper Schmeichel)を含めた全員がアウェーサポーターの集まる一画へ向かった。感情を抑えきれないグレイはそのままユニホームを脱いで「クン・ウィチャイのために」と書かれたアンダーウエアを見せ、警告を受けた。

 試合開始前、レスターの選手とスタッフがセンターサークルで腕を組んで1分間の黙とうをささげる中、涙を流していたシュマイケルは、選手たちにとって受け入れるのが難しい出来事だったと話した。

「大きな意味のある勝利だ。感情的な一日だったし、会長のためにも勝ち点3が取れて良かった」「選手全員が、向こうへ行って葬儀に参列したいと考えている」「きょうは本当に苦しい試合を乗り越えることができた。勝利してタイへ行けて良かったし、ご家族も誇りに思ってくれればうれしい」

 この後、レスターのほとんどの選手とクロード・ピュエル(Claude Puel)監督、クラブ幹部はタイへ飛んでウィチャイ会長の葬儀に参列する予定となっている。2010年にオーナーとなったウィチャイ会長の下で、チームは2016年、5000倍のオッズを覆して見事にプレミア制覇を果たした。(c)AFP/Tim NASH