【11月2日 AFP】ロンドンでも特に激しい混雑で知られるユーストン(Euston)駅に近い新高速鉄道の建設予定地で、4万柱の遺骨の発掘が進められている。

 英政府による高速鉄道プロジェクト「HS2」は、費用とルート、住宅数百軒の立ち退きをめぐり英国で大きな議論を呼んでいる。ロンドンとバーミンガム(Birmingham)を結ぶ第1期工事は2026年までに完了する予定で、建設費は240億ポンド(約3兆5000億円)と見積もられている。その後HS2は北に延伸する計画。

 ユーストン駅の近くにある公園、セント・ジェームズ・ガーデンズ(St James Gardens)では、これまでに1200柱の遺骨が発掘された。この土地は1788年から1853年ごろまで墓地として使われていた。

 HS2建設プロジェクトではこれまでに、60か所以上の考古学的な遺跡が見つかっている。セント・ジェームズ・ガーデンズの現場では英国史上で最大級の発掘作業が行われている。こうした大規模な発見は、英国産業革命の重要な時期に人々がどのように暮らし、そして死んでいったかを理解する上で役に立つ。

 骨学者のマイク・ヘンダーソン(Mike Henderson)氏は、「この国で考古学的に発掘された18~19世紀の遺骨を含む一括遺物(訳注 同時に埋没したとみられる遺物の集まり)としてはおそらく最大のものだ」とした上で、「このような大規模なデータが手に入れば病気の流行や死亡率といった重大な問題の研究を実際に始めることができる」と説明した。

 発掘された遺骨は調査が終われば別の場所に再び埋葬されることになっている。(c)AFP/Alice RITCHIE