■ナチズムよりも前の「古傷」

 AfDの党員らは演説で、オットー・フォン・ビスマルク(Otto von Bismarck、1815-1898年)と彼が首相として率いた「プロイセンの城々」の時代をたたえている。ジック氏は、ドイツ帝国の「規律と秩序」を重んじる価値観は、AfDの価値観と一致すると言う。

 AfDの党首アレクサンダー・ガウラント(Alexander Gauland)氏は、ヒトラーの時代について「ドイツの輝かしい1000年の歴史」における「ほんの小さな汚点」だと言う。

 そのナチス時代の最後の目撃者が亡くなりつつある今、「ドイツ人は自国とその歴史に誇りを持ち、あちこちにナチズムの亡霊を見ることをやめるべきだ」と国民に訴えることが、極右勢力の目標だとジック氏は語る。

 ドイツは長年にわたり、第2次世界大戦とナチスの残虐行為やホロコースト(Holocaust、ユダヤ人大量虐殺)を忘れず、罪を償ってきた。だが、第1次世界大戦の記憶はそれに比べてずっと薄い。

 アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)独首相は今月10日、第1次世界大戦の休戦協定が締結された仏ルトンド(Rethondes)をエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領と訪れる予定だが、メルケル氏が出席する100周年関連の行事はこれが唯一となる。「ドイツの政治家たちは、古傷を開かないことを重要視している」と、レオンハルト氏は語った。(c)AFP/ David COURBET