【11月3日 Xinhua News】東京で開催中の第31回東京国際映画祭で10月29日、「日中映画製作の新展開」をテーマにしたシンポジウムが行われた。

 シンポジウムは日本文化庁が主催する「第15回文化庁映画週間」の一環として行われ、第1部では、ジョン・ウー(呉宇森)監督作品を手掛けてきたプロデューサーのテレンス・チャン(張家振)氏が登壇。「中日共同制作現場の成長と今後」をテーマに自身の共同制作経験などについて語った。

 チャン氏は中国内地の映画市場について、近年急速に拡大しており、スクリーン数が5万以上に達していると紹介。観客も言語を問わずに自分の好きな映画を見に行っており、とても開放的な市場だと説明した。また、自身の経験を踏まえ、国際共同制作において最も重要なのはコミュニケーションだと述べ、「相手の文化や慣習を尊重することが一番大事で、人々の考え方が違う時には、尊重し、理解し合いながらやらなければならない」と指摘。中日両国で共同制作する場合も、双方の相違点をすり合わせ、互いに理解することが重要だと強調した。

 第2部では、北野武監督作品のカメラマンとして知られる柳島克己撮影監督が「国際共同プロジェクトの現状」をテーマに自身の中国での経験をシェアした。

 柳島氏は、これから中日共同制作に携わっていく日本の映画関係者に対し「いきなり大きな製作費の作品を進めるのは大変なので、まずは経験値を作ったほうがいい」と、着実に進めていくことをアドバイスした。

 新華社の取材に応じたチャン氏は、今後の中日共同制作にとって大きな課題は、面白いシナリオが足りないことだと指摘。両国で受けるのは人間関係に関するストーリー、「両国の人々がどのように文化の違いを乗り越え、互いに尊重し合っていくのか。そうした心の琴線に触れるようなストーリーを考え出すことが大切だ」と訴えた。

 柳島氏は、両国の合作について、単純に半分ずつ協力し合えばいいというものではないと指摘。内容より体制づくりが大事で、バランスを取りながら、双方の良さを生かすことが最も重要だと語った。

 シンポジウムの最後には、ゲスト2人が約200人の来場者と、中日共同制作の実際の状況や、将来的な協力の可能性について質疑応答し、交流を深めた。(c)Xinhua News/AFPBB News