【11月1日 AFP】八角形のデザインが特徴の直火式エスプレッソメーカー「モカ(Moka)」を手掛けるイタリアのビアレッティ(Bialetti)が、会社更生手続きに入ったことが分かった。創業100年近い老舗メーカーだが、最近は売り上げが落ち込み赤字に陥っていた。

 カプセル式マシンなど成長力のある製品に軸足を移すための資金繰りをめぐり、米ヘッジファンドと交渉を進めているという。

 中に詰めたコーヒー豆に蒸気を通してエスプレッソを抽出する金属製エスプレッソメーカーのモカは、その独特なデザインでイタリアのアイコンにもなった。イタリアでは朝のエスプレッソを「モカ」で作るのが何世代にもわたって好まれてきた。

 新型モデルは今も人気商品であり続けているものの、市場の変化や財務上の困難から供給に問題を抱え、今年上期の売り上げは前年同期に比べ12%落ち込んでいた。同期の決算は1530万ユーロ(約20億円)の赤字だった。

 今年7月以降に直営店19店舗を閉鎖したが、先週に入り裁判所に債権者からの保護を申請した。同時に、米ヘッジファンド、オクジフ・キャピタル・マネジメント(Och-Ziff Capital Management)に緊急の資金として1700万ユーロ(約22億円)の融資を求めて交渉している。

 オクジフからの資金は、6900万ユーロ(約88億円)近くに上るビアレッティの債務償還や、カプセルや自社製コーヒーの販売などの成長事業に傾注する構造改革用の資金4000万ユーロ(約51億円)の一部となる見込み。(c)AFP