【11月3日 東方新報】胡おばさん(58)は定年退職後、年老いた姉妹らと一緒に外出することはない。友人と集まって会食をすることもない。でも毎日はバタバタと忙しい。というのも、家の中と外、合わせて60~70匹の野良猫が待っているからだ。

 40平方メートルしかない家で、胡おばさんは8匹の猫を飼っている。年齢、顔つき、性格もそれぞれだが、共通点が一つだけある。みなかつては野良だったことだ。

 家の面積は広くないが、置いてある物は多い。猫用の餌と冬用の猫用ボックスの占める面積だけでも相当なものがある。だが家の中は整理が行き届いていて、ソファの上やテーブルの下、窓際、ベッドの隅など、猫が横になれるところは柔らかなマットを敷いてある。

「猫は寄りかかるのが好きだから・・・マットは厚めが良いの、暖かいし」と胡おばさんは微笑みながら言う。猫の毛だらけにならないよう、家のソファやベッドには布のカバーをかけてあり、寝る時だけカバーを外すようにしているという。

「家の中に入れば、家族の一員。毎日を気持ちよく過ごしてほしいの」と胡おばさんは言う。

■4時までには起床し猫に餌を

 家の中には皿が6枚が置いてある。「この子らは好きなものがそれぞれなの。今回ドライフードを食べたら、次回はウェットフードとか、食べるごとに食べるものを替える子もいるわ」。家の中の猫に細かく心配りをするほか、家の外の猫に対しても手抜きはしない。午前と午後5時にきっちり食べさせるために、胡おばさんは一日中忙しい。

 朝は午前4時前に起き出し、前日に買っておいた鶏のレバー5キロを煮る。家を出る前には、猫のえさと水を忘れずに揃える。胡おばさんは自分の朝ごはんを食べる暇もない。「5時には必ずみんな来るから、遅刻はできないわ」という。

 胡おばさんの家があるブロックには三つの餌場があり、約40匹の猫が定刻に現れる。家を出る時には、ニャンコ用の食べ物と水約10キロを持つ。餌場を廻り終えると、また家に戻り、今度は鶏のレバーの煮物を携えてバスに乗り、引退する前に務めていた元の職場に行く。バスで30分の道のりだ。「引退はしたけど、毎日通っているわ。もちろん仕事じゃなくて、ニャンコのお世話に行くの。10数匹が私を待っているのでね」