■「プロ人質」

 安田さんは04年にイラクで拘束された経験もあるため、一部で「プロ人質」の異名を取った。また、7月末にネット上で公開された動画が一因で、安田さんが日本人ではないとの中傷も出た。

 動画で安田さんは日本語で話しているものの、自身を「ウマル」と名乗り、国籍は「韓国」だと主張した。犯行グループが安田さんに対し、本名や日本人であることを明らかにしないよう要求したためとみられるが、ツイッター上には安田さんが「韓国に帰るべきだ」とするつぶやきが投稿された。

 内戦状態のシリアで起きた一連の記者拉致事件は、各国の政府や世論の反応の違いを浮き彫りにした。身代金の支払いに応じる国もあれば拒否する国もある。解放された記者を英雄として称賛する国もあれば、不必要なリスクを冒したとしてひそかに批判する国もある。

 日本の主流メディアや政府関係者は、安田さんやその他の人質となった人たちを表立って批判することをおおむね避けている。ただ、ネット上で誹謗中傷が広がっている状況について、テレビ朝日(TV Asahi)解説委員の玉川徹(Toru Tamakawa)氏は、安田さんの事例に関して「自己責任論というのを僕は否定しておきたい」と明言し、命懸けで情報を取ってくるジャーナリストが必要だと強調した。(c)AFP/Karyn NISHIMURA-POUPEE