■英国の経済制裁への反発から切りつけられた絵を修復

 作品が外交問題に巻き込まれる場合もある。

 イランの首都テヘランで2011年、核開発問題をめぐる英国の制裁に抗議していたデモ隊が、英国大使館になだれ込む出来事があった。ジョンソン氏によると、この際にいくつかの絵画が切りつけられたという。

 在テヘラン英国大使館は2015年に再開、翌年に両国の外交関係は完全に復活した。だが、大使館に飾られていた作品が修復されて戻され始めたのは、ここ数か月前の話だ。

 英政府は、ガバメント・アートコレクションの収集を資金援助しており、美術品の収集、保存、額装、輸送、設置の予算として、2018年には85万5000ポンド(約1億2000万円)が割り当てられた。新しいアーティストらへの投資も行われているが、これは主に寄付によって賄われているという。

 デジタル・文化・メディア・スポーツ省のマイケル・エリス(Michael Ellis)政務次官は、「アートと文化は、世界に対するわれわれの名刺代わりだ」と胸を張り、コレクションは、「世界における英国のソフトパワーの成果の一つだ」と強調した。(c) AFP/ Alice RITCHIE