■これ以上ない最高のタイミング

 トランプ氏は22日夜、証拠こそ示さなかったものの、移民7000人以上のキャラバン結成の背後にいるのは民主党だとして非難した。

 つい最近まで、移民問題への対応で劣勢に立たされていたトランプ氏だが、今度はこの移民キャラバンによって、政治的に優位な立場を取り戻した。同氏の不法移民親子の引き離しをめぐっては、非人道的で、反米国的なやり方だと民主党から激しく非難された。

 民主党は今、難しいかじ取りを迫られている。トランプ氏の強硬な態度に反対する姿勢では、国家の安全保障をないがしろにしているという印象を与えかねない。しかし、トランプ氏の強硬路線に賛同すると、ヒスパニック系有権者からの支持を失う恐れが生じる。ヒスパニック系の多くは民主党支持だ。

 移民政策研究所(Migration Policy Institute)のムザファ・チシュティー(Muzaffar Chishti)氏はAFPの取材に、「これは(トランプ氏にとって)これ以上ないほどいいタイミングで降ってきた贈り物だ」と、移民キャラバンについて話す。彼らは今も、テキサスを目指し1600キロ以上の道のりを移動し続けている。

 トランプ氏の反移民的なレトリックは、移民キャラバンの中に「犯罪者や身元不明の中東の人物が紛れ込んでいる」といった証拠のない主張のような、うそと恐怖をあおる驚くべき次元に到達した。

 米調査機関ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)のデータによると、共和党支持者の75%は、不法移民が米国最大の問題であると考えているとされる。一方の民主党支持者では同19%にとどまっている。