【10月24日 AFP】先発出場した米大リーグ(MLB)のプレーオフで負傷し、フィールドに倒れ込んでから1年――。ボストン・レッドソックス(Boston Red Sox)のエドゥアルド・ヌニェス(Eduardo Nunez)二塁手が悲しみの日々を乗り越え、ワールドシリーズでヒーローになった。

 23日に行われたロサンゼルス・ドジャース(Los Angeles Dodgers)とのワールドシリーズ初戦で、代打として出場したドミニカ共和国出身の31歳は、本拠地フェンウェイ・パーク(Fenway Park)名物の左翼フェンス「グリーン・モンスター」を越える3点本塁打を放ち、チームに8-4の勝利をもたらした。

 ヌニェスは試合後、「ヒーローになるなんてどうでもいいから、自分としては変な気分だ。チームの勝利、重要なのはそれだけだ」「自分たちは勝つ時も負ける時も一緒だ。誰がヒーローかなんて誰が気にするんだ? でもヒーローがいるということは、自分たちが勝ったということ。良い気分だね」と語った。

 レッドソックスが5-4でリードしていた7回裏、2死一、二塁の場面でドジャースがアレックス・ウッド(Alex Wood)をマウンドに送ると、ヌニェスが代打として登場した。ヌニェスは左翼に高々と打ち上げると、打球はグリーン・モンスターの最前席に吸い込まれた。

 塁を回る間、歓喜に沸くレッドソックスのファンを見つめていたヌニェスは「一人の選手として最高の感覚だった。あのファンたちを見てくれ。自分たちのプレーを見るためにチケットを買ってくれた人たちが熱狂している」「最高の気分だ」と話した。

 ヌニェスは2010年にレッドソックスの宿敵ニューヨーク・ヤンキース(New York Yankees)でMLBでのキャリアを始め、その後ミネソタ・ツインズ(Minnesota Twins)やサンフランシスコ・ジャイアンツ(San Francisco Giants)などを渡り歩いた後、昨年からレッドソックスに加入した。

 しかし、昨シーズンは9月に右膝靱帯(じんたい)を負傷。同月中に復帰し、プレーオフ初戦に先発出場したが、第1打席でゴロを放ち一塁へ走った際に同じ箇所を再び痛めた。ヌニェスは球場から運び出され、ラインアップからも外された。

 ヌニェスは「言うまでもなく去年は自分自身に失望した。嫌なタイミングでけがをしてしまった」と振り返る。

「チームは地区シリーズで敗れた。ひどい経験だった。だからこのチームと改めて契約したんだ。アレックス(・コーラ<Alex Cora>監督)には、チャンピオンリングが欲しかったというのが契約した唯一の理由だと伝えた。自分にその経験はないし、ワールドシリーズでも1試合も戦ったことがない」

「今年も膝などに多くの問題を抱えていたが、そうしたけがを克服した。自分が乗り越えられたこと、そしてチームが今ここにいることを神に感謝しないと。勝利できてとても興奮している」 (c)AFP/Jim SLATER