【10月24日 AFP】米コーヒーチェーン大手スターバックス(Starbucks)は23日、米国では同社初となる聴覚障害者向けの「手話ストア」を首都ワシントンにオープンした。店員の多くは聴覚障害があり、全員が手話で客とコミュニケーションできる。

「普通のスターバックスだと、分かってもらえるといいなと思いながら話しかけるか、携帯電話を使って注文したい商品を見せなくてはいけないんです」。この日、店を訪れたギャローデット大の学生レベッカ・ウィツォフスキー(Rebecca Witzofsky)さん(20)は言う。

「でも、ここでは注文したお客の名前が表示されます。注文したものができたと言うお店の人の声に耳をそば立てなくともいいので、これは本当にすてき」

 新店舗は世界で唯一すべてのカリキュラムが聴覚障害者向けに作られているギャローデット大学(Gallaudet University)の近くに立地。スターバックスが2016年にマレーシアのクアラルンプールに開いた店舗がモデルとなっている。

 店内の様子は他のスターバックスの店と変わらない。しかし、会話の大半が手話で行われているせいか、大勢の人がいるにもかかわらず店内は驚くほど静かだ。

「この店は聴覚障害者がキャンパス外で集まって他の聴覚障害者と会って食事ができる場所です。耳の聞こえない店員さんとも会えます」とウィツォフスキーさんは顔をほころばせる。

 店には他にも聴覚障害者向けの特別な仕掛けがある。「今週の手話」もその一つだ。

 今週のそれは「コーヒー」。両手で握りこぶしを作り、両方とも親指のあるほうを上にして一方のこぶしの上にもう一方のこぶしを載せ、コーヒーのグラインダーを思わせる動きで回す。

 また、耳の聞こえないアーティストがデザインしたマグカップや、スターバックスのロゴを手話でどう表現するか説明する資料も販売されている。

 スターバックスは、さまざまなコミュニティーを結びつけるのがこの店舗の目的だと説明する。同社をめぐっては今年4月、ペンシルベニア州フィラデルフィア(Philadelphia)の店舗で、友人を待っていただけの黒人男性客2人が逮捕される事件があり、人種差別だとして厳しく批判する声が上がった。

 店のオープニングには、聴覚障害があるアカデミー賞(Academy Awards)女優、マーリー・マトリン(Marlee Matlin)さんも姿を見せた。

 店の外のテラス席でコーヒーを飲んでいた引退したアルバート・ヒボック(Albert Hlibok)さんとペギー(Peggy Hlibok)さん夫妻は「耳の聞こえる世界と交流する」ために店を訪れたと説明。ペギーさんは「これは私たち全員にとって素晴らしい機会だと思います」と通訳を通じて語った。(c)AFP