【10月23日 AFP】台湾で列車が脱線し18人が死亡した事故で、列車は脱線時に加速し、運転士が列車自動制御保護システム(ATP)のスイッチを切ったと話していることから、運転士に「業務上過失致死」の疑いが掛けられていることが分かった。裁判所が23日、明らかにした。

 21日に発生した事故では、東海岸を走っていた特急「普悠瑪(プユマ、Puyuma)」号が線路上でジグザグ状に横転し、187人が負傷。台湾での鉄道事故としては、およそ四半世紀ぶりの最悪の被害となった。

 運転士は検察の事情聴取を受けた後、23日に保釈された。運転士は負傷しており、肋骨(ろっこつ)の骨折などに対する治療を受けるため病院へ戻ったという。

 審理の一環として証拠の再検討と運転士への聞き取りを行った宜蘭(Yilan)の地方裁判所によると、運転士は列車への電力供給に問題があったため、走行速度を監視するATPを切ったことを認めたという。

 事故現場となった新馬(Xinma)駅へ向かう際、列車は時速140キロで走行。線路のカーブを曲がる際の制限速度である時速80キロを超過していた。

 運転士は新馬駅よりも前の駅でATPを切り、調整係と話をするために切ったままにしていたと話しており、「業務上過失致死」に当たるとみられている。

 裁判所は「運転士がATPを切ったため、運転士は自動速度監視機能およびブレーキ機能の補助を受けなかった。先に大きなカーブがあることを知っていたのだから、脱線に至った駅のホーム近くでブレーキをかけるのではなく、必要な対応を取るべきだった」と述べた。

 運転士は裁判所の外で、ATPを切ったのか、スピードを上げていたのか報道陣に問われたものの、コメントしなかった。(c)AFP