■刑務所のような状況に送り込まれる難民の子どもたち

 タイは、姿を消すための場所として知られている。ビザの審査が緩いことを悪用し、他人に成り済ますこともでき、当局にとって頭痛の種となっている。

 一方で人権団体は、バンコクを経由して第三国に再定住を希望する難民が、法的な後ろ盾がないために警察のX線作戦に巻き込まれる可能性もあると指摘する。

 人権団体フォーティファイ・ライツ(Fortify Rights)の推定によれば、こうしたケースに当てはまるのは大人約100人、子ども30人ほど。その大多数がパキスタン人だが、シリアやソマリア出身者もいるという。

「タイの入国管理局は、取り締まりによって難民まで逮捕し、子どもたちを刑務所のようなひどい状況下に送り込んでいる。また、南アジアやアフリカ出身の人々に対する取り締まりの方針には、明らかに人種差別的な側面があるように思える」と、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(Human Rights Watch)アジア部門責任者ブラッド・アダムス(Brad Adams)氏は指摘する。

 だが、当局は非を認めない。

 スラチェート氏によると、タイに不法滞在する外国人は6000人を超えているという。「家の中をきれいにするには、善良な人を招き入れ、悪人は追い出さなければならない。国の安定を保つためだ」とスラチェート氏は述べた。(c)AFP/ Dene-Hern CHEN and Thanaporn PROMYAMYAI