■生物学的意味を超える「遺産」

 民主党のエリザベス・ウォーレン(Elizabeth Warren)上院議員は10月上旬、DNA検査を利用し、祖先に先住民がいることを証明してみせた。先住民の祖先がいると主張していたウォーレン氏に対し、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が「ポカホンタス(Pocahontas、先住民女性の名前)」と呼び、やゆしたことを受けた行動だった。

 だが、先住民の人々はウォーレン氏に異議を唱えている。

 1828年に創刊された米国で最も古い先住民紙「チェロキー・フェニックス(Cherokee Phoenix)」のブランドン・スコット(Brandon Scott)氏はウォーレン氏の行動について、「先住民の遺産がDNAによって受け継がれるという伝説に正当性を与えてしまった」と批判する。

「遺産というものは生物学的なものだけで決められるものではない」と、スコット氏は説明し、「我々のアイデンティティーは、中国で作られた合皮製の羽飾りには存在しない。アイデンティティーとは共同体、長老の語り伝える言葉、われわれの子どもたちの表情の中に存在するものだ」と続けた。(c)AFP/ Charlotte PLANTIVE