【10月20日 AFP】英国の覆面ストリートアーティスト、バンクシー(Banksy)の作品がオークションで落札された直後に下半分が細断されたことについて、計画ではすべてが細断されるはずで「いたずら」は半分しか成功しなかったとバンクシーが明かした。

 このバンクシー作品は、競売大手サザビーズ(Sotheby's)が5日にロンドンで行ったオークションに出展された「少女と風船(Girl with Balloon)」。104万2000ポンド(約1億5000万円)で落札されると突然、額縁の中に仕掛けられていたシュレッダーで下半分が細断された。専門家らは、この細断をメディアが大々的に取り上げたことでパフォーマンスアートが再評価され、作品の価値はさらに高まったと指摘する。

 その一方で、作品の半分だけが細断された理由は謎で、深い意味が隠されているのではとも思われていた。だが、バンクシー本人がこのほど動画で明かした答えは意外に単純なものだった。作品がシュレッダーに詰まってしまったためだというのだ。

 約3分の動画は、黒い服を着た白人男性が額縁の中にシュレッダーを仕込む場面から始まり、5日のロンドンでのオークションの隠し撮り映像に場面が変わる。「少女と風船」の競売が始まり、入札価格が瞬く間につり上がった末に作品が競り落とされると、映像はある人物の手元に切り替わる。この人物がリモコンのボタンを押すとビープ音が流れ、映像はオークション会場の絵が額縁の下へと動いて細断されていく様子を捉える。

 動画の最後に「リハーサルでは毎回うまくいっていた」とのメッセージが現れ、複製画の「少女と風船」がすべてシュレッダーで完全に細断される様子が映し出される。

 これで残された唯一の疑問は、果たしてこのいたずらにサザビーズも関与していたのかということだ。バンクシーの動画でサザビーズの競売人は、細断された作品を目にして不安とも驚きともとれる表情をみせている。しかし、サザビーズもバンクシーもこの謎はそのままにしておくようだ。(c)AFP/Dmitry ZAKS