■「より洗練された」偽情報キャンペーン

 ブラジルで最も発行部数の多い新聞フォリャ・ジ・サンパウロ(Folha de Sao Paulo)は、労働党を非難する内容のメッセージをワッツアップで大量に送ることになっている複数の企業が、それぞれ最大で320万ドル(約3億6000万円)の報酬を受け取る契約を結んでいたと報じた。

 この報道を受けてアダジ氏はサンパウロで記者会見を開き、「ワッツアップを介した中傷・名誉毀損(きそん)キャンペーンの存在を確認した。メッセージが大量であることを考えると、この背後に不正資金があることは分かっている。高等選挙裁判所に登録されたものではない」と述べた。

 ボルソナロ氏の弁護士を務めるティアゴ・アイレス(Tiago Ayres)氏は経済紙バロール(Valor)に対し、フォリャ・ジ・サンパウロが名指ししている企業とボルソナロ氏陣営に何らかのつながりがあるとする証拠は一切ないと主張した。

 また、今回のブラジル大統領選では外国によるオンラインでの干渉があったとする証拠も皆無だ。

 しかし大手世論調査会社ダッタフォーリャ(Datafolha)のマウロ・パウリーニョ(Mauro Paulinho)氏は、第1回投票の直前、世論に「多少の変化」があったことを察知していたとツイートしている。

 ブラジル政府が設立したブラジルインターネット運営委員会のセルジオ・アマデウ(Sergio Amadeu)氏は、法律違反かどうかを決めるのは選挙管理委員会だと前置きしつつ、米国で行われたものと大変似ていながらも、ブラジルの政治文化の枠組み内で行われている「より洗練された」偽情報キャンペーンが存在していると認めている。(c)AFP