【10月18日 AFP】ナチス・ドイツ(Nazi)の独裁者アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)が1938年に演説を行ったオーストリア首都ウィーンの市庁舎にあるバルコニーについて、活動家らが取り壊しを求めている。地元メディアが17日、報じた。

 1938年4月9日、ヒトラーは荘厳なネオゴシック様式の市庁舎に特設された木製バルコニーで演説を行った。その後演説を記念するため、バルコニーは常設用に石材で造り替えられた。

 その経緯について知る人が減る中、「記憶の空白」を意味する名称の芸術家団体が、このバルコニーの取り壊しを求めている。

 同団体は、第一共和国成立100周年とナチス・ドイツによるオーストリア併合「アンシュルス(Anschluss)」から80年という節目の行事の一環として、バルコニーを撤去すべきだと訴えている。

 これに対しウィーン文化局のベロニカ・カウプハスラー(Veronica Kaup-Hasler)局長は、今回の議論で忘れられた市庁舎の歴史に注目が集まったことを歓迎していると、同局報道官がオーストリア通信(APA)に明かしている。

 ただカウプハスラー局長は、その歴史についてより明確な説明を添えた上で、バルコニーそのものは残したい意向だという。(c)AFP