【10月16日 CNS】近ごろ、中国の各地でアップル(Apple)のスマホユーザーが、自分のアップルIDが盗まれる被害に遭っている。バインドしたプラットフォームを通して決済され、最高で1万元(約16万円)以上の損失が生じているが、上海のアップル社は、不法に盗用された分の返金については対応できないとしている。

 湖北省(Hubei)武漢市(Wuhan)の劉さんは9月24日午後10時10分、自分の「iPhone6 Plus」の画面に支付宝(アリペイ、Alipay)のポップアップウィンドウが現れたことに気が付いた。「午後10時09分にアップルストア&アップルミュージックで1000元(約1万6000円)決済完了しました」。数秒後、また別の「1000元決済完了」の通知を受信した。

 おかしいと思った劉さんは念のため、自分のアップルIDの過去90日間の購買記録を見て驚いた。アップルIDで1000元が2回と100元、合計3回分の金額が決済されていた。またモバイルゲームで課金したとする数点も決済されており、支払い状況については「決済待ち」と表示されていたが、数分後には「決済済み」へと変わった。「名前すら聞いたことが無いゲームをダウンロードするわけがない」。劉さんは困惑した。

 メールの受信箱を見ると、同日午後10時06分にアップルから「注意喚起」のメールが入っており、そこには劉さんのアップルIDがiPhone6でiCloud(アイクラウド)にログインしたとの内容が記されていた。しかし、劉さんはiPhone6 Plusしか持っていないので、「盗用されたのではないかと感じた」という。

 劉さんは、他の被害者との情報交換の中で思い出したことは、その前に、アリペイからの通知で「パスワード無し決済機能」についての通知を受けたことだった、ただ、劉さんはこの機能をアクティブにした覚えがまったく無く、使った記憶ももちろんないので、自分の個人情報が流出し犯罪者に利用されたのではないか、と推察するに至った。

 劉さんは、アップルのカスタマーサービスに合計8回連絡した。対応した相手は、同情はするものの、結論としては「理由がないので返金できない」というものだった。やむなく、上海消費者保護委員会にも協力依頼をしたが、結果は変わらなかったという。

 ある情報によると、上海市民サービスホットライン「12345」には大量のこの種の報告が来ており、劉さんのような被害者が増えているという。被害者はQQでグループを作り情報共有をしており、全国各地に広がっている。被害者の数はすでに700人を超えたとのことだ。(c)CNS/JCM/AFPBB News