■今も野放し

 故カルアナガリチア氏の支持者らは毎月16日の命日に夜通し、正義を求める祈りをささげている。一方で、首都バレッタの歴史的中心地には同氏を追悼する場が何度も現れ、当局はそれを撤去するために定期的に路上清掃員を派遣している。

 そうした中、ジョゼフ・ムスカット(Joseph Muscat)首相率いる労働党政権は、見解を求める度重なる要請にようやく応じ、カルアナガリチア氏殺害は「われわれの表現の自由に対する攻撃であり、断じて容認できない」とする声明を発表した。

 だが、車両爆破の実行犯とされる男3人は逮捕され、現在裁判が行われているものの、殺害を指示した人物は今も捕まっていない。

 野党・国民党の前党首、サイモン・バスティル(Simon Busuttil)氏は、首都バレッタにある自身の事務所でAFPの取材に応じ、「カルアナガリチア氏の(ブログにあった)生前最後の言葉は、『状況は絶望的』だった。今の状況は、それよりもさらに絶望的だと感じる」と語った。

「彼女の殺害を指示した人々は、今もまだ野放しだし、彼女が暴露した汚職問題もまだ解決していない。そして、それらの汚職に関与しているのは今、政権を運営している人物たちだ」

 2004年に欧州連合(EU)に加盟したマルタに対し、EUは法の支配を順守させるべきだとバスティル氏は強調する。

 カルアナガリチア氏の姉妹のコリンヌさんは憤りを隠さない。「人一人殺されたのに、誰も罰せられず、何も変わっていない。あの時、ダフネ(カルアナガリチア氏)が危険にさらされていたのだとすれば、今の状況はそれよりもはるかに悪いと思う」(c)AFP/Charles ONIANS / Sonia LOGRE