【10月15日 AFP】世界で最も住宅購入が難しい都市の一つとされる香港で14日、香港最大の島ランタオ(Lantau)島を埋め立てて宅地造成を進めるという政府の計画に反対するデモが行われ、市民ら数千人が参加した。計画に反対する人々は埋め立て工事が環境破壊につながり、開発業者の私腹を肥やすだけの「無用の長物」だと非難している。

 香港政府は、住宅不足を解消する解決策だとしてランタオ島周辺を1700ヘクタール埋め立てる計画を推し進めている。香港行政トップの林鄭月娥(キャリー・ラム、Carrie Lam)長官によると、新しく建設された住宅施設には110万人が入居でき、施設の7割は公営住宅になるという。

 しかし専門家らは、開発計画は費用が膨大で海の生態系をはじめとする環境への影響が大きく、また市民の声が反映されていないと訴えている。正式な工事費用は明らかにされていないが、反対派からは8000億香港ドル(約11兆4000億円)との試算も出ている。

 デモの参加者からは「無用の長物はいらない!」というシュプレヒコールが起こり、自分で描いたシナウスイロイルカの絵を持った子どもたちもデモに加わった。環境保護活動家によるとシナウスイロイルカは近年、工事や埋め立てにより頭数が減少しているという。

 デモ参加者の一人は、開発業者が担保として抱えている土地を取り戻すことに政府が消極的だと指摘し、「香港で土地を見つける方法はいくらでもある。けれども(香港当局は)開発業者との摩擦を嫌がっている」と述べた。(c)AFP