【10月13日 AFP】サウジアラビア政府に批判的な記事を執筆していたサウジ人ジャーナリスト、ジャマル・カショギ(Jamal Khashoggi)氏がトルコ・イスタンブールのサウジ総領事館を訪れた後に失踪した問題で、サウジアラビアの内相は13日、カショギ氏暗殺の命令が出されたとの見方を「根拠のないうそ」だとして否定した。

 国営サウジ通信(SPA)によると、サウジアラビアの大臣として初めてカショギ氏殺害疑惑についてコメントしたアブドルアジズ・ビン・サウード・ビン・ナエフ(Abdel Aziz bin Saud bin Nayef)内相は、サウジアラビアは「国際法と国際協定に従っている」と話すとともに、トルコと協力して同氏の失踪時の状況を明らかにすることを歓迎すると述べた。

 カショギ氏は今月2日、トルコ人女性との結婚を前に必要書類を受け取るためイスタンブールのサウジ総領事館を訪れた後、行方が分からなくなっている。トルコの警察当局や数々のメディアは、同氏は総領事館で拷問され、殺害されたとの見方を示している。

■サウジ代表団がトルコ入り

 当局が12日明らかにしたところによると、トルコ・サウジ間の脆弱(ぜいじゃく)な関係を危うくしかねないカショギ氏の失踪について協議するため、サウジ代表団がトルコ入りした。

 トルコのイブラヒム・カルン(Ibrahim Kalin)大統領報道官は11日、サウジが要請していた合同作業部会の設置を発表した。サウジ国営メディアの12日の報道によると、サウジ代表団は今週末にトルコの首都アンカラで合同作業部会に参加し、トルコ側と協議するものとみられている。

 SPAは、トルコが合同作業部会の設置に同意したのは「前向きな動き」だというサウジ当局者の発言を伝えた。トルコ政府系メディアはイスタンブールに送り込まれた「暗殺部隊」がカショギ氏を殺害したなどとセンセーショナルに報じているが、トルコ指導部はこれまでのところ、サウジアラビアに対する非難を避けている。(c)AFP