【10月13日 AFP】選考機関関係者の不祥事で今年の発表が見送られたノーベル文学賞(Nobel Prize in Literature)に代えて授与されることになった「ニューアカデミー文学賞(New Academy Prize in Literature)」の受賞者が12日、スウェーデンのストックホルムで発表され、カリブ海に浮かぶフランス海外県グアドループ(Guadeloup)出身の作家、マリーズ・コンデ(Maryse Conde)氏が栄誉に輝いた。

 ノーベル文学賞の選考機関、スウェーデン・アカデミー(Swedish Academy)の「偏向、傲慢(ごうまん)さ、性的偏見」を批判したスウェーデンの作家、芸術家、ジャーナリストら100人以上によって立ち上げられた同賞の選考機関「ニューアカデミー」は、コンデ氏を「植民地主義がもたらした荒廃と植民地独立後の混乱を正確かつ圧倒的な筆致で描写した」と称賛した。

 スウェーデンの図書館司書らがノミネートした47人から、世界各地の約3万3000人が参加したインターネットでの一般投票でコンデ氏、ベトナム系カナダ人のキム・チュイ(Kim Thuy)氏、英国のニール・ゲイマン(Neil Gaiman)氏、日本の村上春樹(Haruki Murakami)氏の4人が最終候補に選ばれたが、村上氏は先月、注目を浴びるのを避けて仕事に集中したいとして辞退していた。

 クラウドファンディングと寄付で賄われる賞金は100万クローナ(約1300万円)で、ノーベル賞晩さん会の前日の12月9日に行われる授賞式で授与される。

 ニューアカデミーは12月に解散することになっており、ニューアカデミー文学賞が授与されるのは今年限り。スウェーデン・アカデミーは、今年のノーベル文学賞受賞者は、来年の受賞者と合わせて発表するとしている。(c)AFP