【10月13日 AFP】アイルランドは11日、フランス語圏諸国がつくる連帯組織「フランコフォニー国際機関(OIF)」に加わった。主要貿易相手の英国が欧州連合(EU)離脱(ブレグジット、Brexit)の準備を進めるなか、新たな協力関係を開拓する動きの一環。同じくEU加盟国のマルタ、西アフリカのガンビア、米ルイジアナ州と共に、オブザーバーとして参加が認められた。

 アイルランド外務・貿易省のヘレン・マッケンティー(Helen McEntee)閣外相(欧州問題担当)はAFPに対し、同国はOIFに参加しているアフリカ・中東諸国やカナダ、南米諸国を念頭に「ブレグジット後を見据え、欧州内や、さらに遠くの国々との新たな関係を開拓している」と説明した。

 同閣外相は「ブレグジットによって欧州で英語を母語とする国がわれわれだけになる。そのため、われわれは言語を一層重視する必要がある」とする一方、自身はフランス語を「話すべきだが、それほど話さない」と認めた。

 また同閣外相は、OIFへの参加はフランスとの関係を強化する手段でもあると述べた。アイルランドは、ブレグジットをめぐる合意によって同国と英領の北アイルランドの間に新たな障壁ができることを避けるよう求めており、フランスはこの要求を一貫して支持している。

 仏政府がフランス語を公用語とする国の人口に基づき推計した公式統計によれば、フランス語は標準中国語、英語、スペイン語、アラビア語に次ぎ、世界で5番目に多く話されている言語だという。

 OIFによると、人口に占めるフランス語話者の割合はアイルランドで12%、マルタで13%。OIF正式加盟国のモルドバはわずか2%で、両国はこれを上回っている。

 OIFはフランス語圏諸国が1970年に結成した機関。アイルランドなどが参加する前の時点で58か国・地域が加盟、26か国・地域がオブザーバーとして参加しており、合計9億人余りの人口のうち2億7400万人をフランス語話者が占める。

 サウジアラビアは政府を批判していた同国のジャーナリストの失踪をめぐり批判を受けるなか、OIFへの加盟申請を取り下げた。当局者らが11日明らかにした。

 OIFは今月18、19両日、アルメニアの首都エレバンで年次サミットを開く予定で、エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領やジャスティン・トルドー(Justin Trudeau)カナダ首相が出席する。(c)AFP/Clare BYRNE