【10月12日 AFP】ロシアの宇宙船「ソユーズ(Soyuz)」が、国際宇宙ステーション(ISS)への打ち上げ直後に起きた異常により緊急着陸した問題で、ロシア国営宇宙企業ロスコスモス(Roscosmos)は、問題の原因が究明されるまでの間、ソユーズの打ち上げを見合わせることを決めた。これにより、ISSへの有人輸送は当面の間不可能となる。

 11日のソユーズ打ち上げでは、ロケットに生じた問題により、米国のニック・ヘイグ(Nick Hague)、ロシアのアレクセイ・オフチニン(Alexey Ovchinin)両飛行士がカザフスタンへの緊急着陸を迫られた。

 米航空宇宙局(NASA)が2011年にスペースシャトルを退役させて以降、宇宙飛行士を地球からISSに送る方法はソユーズによる有人飛行のみとなっている。ソユーズの運用停止により、米国とロシアのいずれもISSに宇宙飛行士を送ることができない状態となり、すでに入り組んでいる来年の打ち上げ日程はさらに複雑化する見通しだ。

 次のソユーズ打ち上げは12月20日に予定され、3人がISSに向かうことになっているが、米エンブリー・リドル航空大学(Embry-Riddle Aeronautical University)のエリック・シードハウス(Erik Seedhouse)助教(応用航空科学)は、打ち上げ停止は少なくとも「数か月間」に及ぶとみている。

 欧州宇宙機関(ESA)はすでに、今回の問題がISSの予定に影響することを認めている。現在ISSに滞在するドイツのアレクサンダー・ゲルスト(Alexander Gerst)、米国のセリーナ・オナン・チャンセラー(Serena Aunon-Chancellor)、ロシアのセルゲイ・プロコピエフ(Sergei Prokopyev)の3飛行士はいずれも12月に地球に帰還する予定だが、ESAは3人の滞在期間延長に向けた臨時計画の作成を進めている。

 しかし、問題となり得ることが一つある。NASAによると、6月にISSにドッキングした帰還用宇宙船のバッテリーの電力は約200日で失われる。これは理論上、3人が来年1月初めまでに帰還しなければいけないことを意味する。(c)AFP/Ivan Couronne