【10月10日 AFP】男子テニス、四大大会(グランドスラム)通算20勝を誇るロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)は9日、オーストラリアのニック・キリオス(Nick Kyrgios)について、才能に見合う労働倫理を身につけない限り、持っている潜在能力を開花させることは難しいだろうと警告を発した。

 気まぐれな性格で知られる23歳のキリオスは前日、上海マスターズ(2018 Shanghai Rolex Masters)1回戦で予選から勝ち上がってきた世界ランク104位のブラッドリー・クラーン(Bradley Klahn、米国)に6-4、4-6、3-6で敗れる番狂わせを喫した。

 試合中には、主審から自身のプレー態度は「(問題になる)ぎりぎり」だと言われ、口論にも発展。上海マスターズでは、出場した全3回いずれも物議を醸しながら大会を去ることになった。

 今週発表の世界ランキングで、33位のアレックス・デミノー(Alex De Minaur)にオーストラリアトップの座を譲った38位のキリオスは、これまでも上海では多くの問題を起こしており、昨年大会の1回戦では、観客からやじやブーイングを浴びる中で試合を途中棄権するなどして罰金を科された。また、2年前にも観客と口論になるなどしてポイントを失った揚げ句に試合にも敗戦。このときも罰金と出場停止処分の制裁を受けている。

 これを受け、同大会に第1シードとして出場している37歳のフェデラーは、キリオスについて「素晴らしい選手」だと認めた上で、「彼が望むところまでたどり着けるか、そして真のポテンシャルを生かしきれるかは本人次第だと思う。労働倫理やスケジュールなど必要であろうことを理解して、自分の周りに適切なチームを置き、そうして初めてポテンシャルを解き放てるのだと思う」と忠告している。

 また、仕事に対する向き合い方といったことは、自身も生まれながらに身についていたものではなかったと認めるフェデラーは、キリオスには「大きな大会に勝ったりする力はある」としながらも、「彼には踏まなければならないプロセスが残っている。他の選手が成功するために通り抜けなければならないのと同様にね」と続けた。 (c)AFP/Peter STEBBINGS