【10月10日 AFP】サッカーアルゼンチン代表のホルヘ・サンパオリ(Jorge Sampaoli)前監督が、決勝トーナメント1回戦敗退に終わったW杯ロシア大会(2018 World Cup)を振り返り、国内からの過剰な期待がリオネル・メッシ(Lionel Messi)を含めた選手のプレーを萎縮させたと話した。

 ロシア大会のアルゼンチン代表は優勝候補の一角に挙げられながらも、決勝トーナメント1回戦で最終的に優勝したフランスに3-4で屈し、敗退した。グループステージでも、初戦のアイスランド戦に1-1で引き分けると、続くクロアチア戦では0-3の完敗を喫し、勇敢なナイジェリアとの最終戦に2-1で競り勝つ苦しい勝ち上がりだった。

 スペインのスポーツ日刊紙マルカ(Marca)のインタビューに応じたサンパオリ氏は、優勝に対する国内の過剰な期待がメッシら選手から創造性を奪い、成功を難しくしたと話した。

 サンパオリ氏は、アルゼンチンの優勝のために「世界最高の選手(メッシ)がその身をささげていた」と話し、「所属クラブ(FCバルセロナ〈FC Barcelona〉)では素晴らしい安定感を見せている。ところが代表チームへ来ると、優勝間違いなしという国内からのヒステリーのような期待にさらされる」と続けた。

「優勝が確実なチームなどない。それでも勝てなければ、メッシが批判の矢面に立たされる。それで普段のプレーができなくなり、楽しめなくなる」「チームに対する期待が重すぎた。ロシアでは優勝への義務感がのしかかってくるのを感じたし、それによって才能を発揮するのが難しくなった」

「そうした環境で仕事をするのは難しい。世界チャンピオンになる以外の道は許されていないのだから」「そうした義務を試合前に押し付けられれば、あらゆることが非常に困難になる」

 サンパオリ氏本人は敗退後も続投への意欲を見せていたが、間もなく契約を解除された。協会はその後、U-20代表監督のリオネル・スカローニ(Lionel Scaloni)氏をフル代表の暫定監督に指名している。

 サンパオリ氏はスカローニ監督に向けて、「優勝への義務感がチームをさらなる不安に陥れないように、バランスを見いださなくてはならない」とアドバイスを送り、「(W杯では)全試合が苦痛だった」とコメントした。

 W杯後、メッシが代表でのプレーを続けるかは不透明な状況が続いており、年内の親善試合については出場を辞退したいという申し出が本人からあったといわれている。(c)AFP