【10月9日 AFP】インドネシア当局は9日、地震と津波で壊滅的被害を受けたスラウェシ(Sulawesi)島の沿岸都市パル(Palu)で活動する外国からの援助活動家らに対し、支援は必要ないとして帰国すべきだと伝えた。

 先月28日に発生した地震と津波による死者は2000人を超えており、大きな被害を受けたパルでは5000人が行方不明になっている可能性がある。

 だがインドネシア当局は、被災地にいる外国の救助チームに対し、パルの複数の地区での遺体捜索活動を禁止する新規則を言い渡した。

 外国のある捜索隊は9日、20万人が食料や水といった物資を必要としているパルへの立ち入りを遮られたという。

 3日前に南アフリカのヨハネスブルクからパルに到着した同国の慈善団体「ギフト・オブ・ザ・ギバーズ(Gift of the Givers)」に所属する男性は、新たな規則により外国の都市型捜索救助隊(USAR)が犠牲者の遺体の収容活動を行うことを禁じられたと説明。

 この男性はAFPに対し、「はっきりと、外国のUSARチームはすべて、帰国しなくてはならない」と言われたと話し、インドネシアでは必要とされていないと述べた。

 「われわれは捜索の経験もあり、ここインドネシアにいる救助チームは専用の装備を持っている。実際に使用したかった」「お役所仕事とは言わないが、そういうものがあったようだ。ここで働いてはいけない、これをやってはいけない、あれをやってはいけないとね。今回のような大きな災害では、ここ以外経験したことがないようなものだ」

 国際援助団体「ワールド・ビジョン(World Vision)」のオーストラリア支部に所属するティム・コステロ(Tim Costello)さんは9日、豪ABC放送に対し、「外国のスタッフらは撤収すべきだとの声明が実際に出された」と説明。「外国人記者が自由に歩き回って報道しているのに、実に奇妙だ」と述べた。

 地震発生当初、インドネシア政府は外国からの支援を拒否。スラウェシ島の被害状況が明らかになってくると、ジョコ・ウィドド(Joko Widodo)大統領が海外からの支援受け入れにやむなく同意した経緯がある。(c)AFP/Maryke VERMAAK