【10月7日 AFP】2日から行方不明となっているサウジアラビア人コラムニスト、ジャマル・カショギ(Jamal Khashoggi)氏について、トルコ警察は、最大都市イスタンブールにあるサウジ領事館内で殺害されたと結論づけた。匿名の政府当局者が6日、明らかにした。

 この当局者はAFPに対し、「警察は初動捜査の結果に基づき、イスタンブールに特別に送り込まれ、その日のうちに立ち去った部隊がカショギ氏を殺害したと考えている」と語った。

 警察はこれに先立ち、複数の当局者を含むサウジ人15人前後が2日、航空機2便に分乗してイスタンブールに入り、カショギ氏と同時刻に領事館に滞在していたことを確認していた。

 半国営アナトリア(Anadolu)通信によると、警察はカショギ氏が領事館から「出てきていない」と述べているという。トルコ政府は6日、カショギ氏の失踪について初動捜査に続けて正式な捜査を始めたと発表した。

 米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)に寄稿してきたカショギ氏は、サウジ政府の顧問を務めたこともあるが、ムハンマド・ビン・サルマン(Mohammed bin Salman)皇太子の一部の政策や、サウジによるイエメン内戦への介入を批判してきた。逮捕される恐れがあったため昨年から米国で暮らしていた。

 サルマン皇太子は米ブルームバーグ・ニュース(Bloomberg News)が5日伝えたインタビューの中で、カショギ氏がサウジ領事館に滞在していた事実を否定し、トルコ当局に領事館内の捜索を認める用意があると述べていた。

 カショギ氏のトルコ人婚約者ハティージェ・ジェンギズ(Hatice Cengiz)さんは、カショギ氏は結婚に必要な書類を受け取りに領事館を訪れたもので、「彼が殺害されたなんて信じない」と語っている。

 今月13日に60歳になるカショギ氏は昨年9月にサウジアラビアを出国。当時はサルマン王子が皇太子に指名されてから数か月後で、大規模な取り締まりで知識人やイスラム教説教者を含む多数の反体制派が逮捕されている最中だった。

 カショギ氏は、サウジ政府が「テロ組織」に指定しているイスラム主義組織「ムスリム同胞団(Muslim Brotherhood)」を擁護したとして、サウジのハリド・ビン・スルタン・サウード(Khaled bin Sultan al-Saud)王子が所有する汎(はん)アラブ紙アルハヤト(Al-Hayat)への寄稿を禁じられたと話していた。(c)AFP