【10月5日 AFP】インドネシアのスラウェシ(Sulawesi)島を襲ったマグニチュード(M)7.5の地震と津波による被害は5日、発生から1週間を迎え、死者数が1558人に上った。国家捜索・救助庁によると、まだ1000人以上が行方不明となっている恐れがあるという。被災地では懸命の捜索・救助活動が続いている。

 沿岸都市パル(Palu)は、地震と津波により住宅が崩壊し、木々も車も押し流されて廃虚と化した。現地にはようやく国際支援団体が入り始めたが、国連(UN)によると人道支援を必要とする被災者数は約20万人に上る。

 被災地では、基本的な生活必需品を求める被災者らが店舗や支援物資を積んだトラックを襲う事例が相次ぎ、これまでに数十人が略奪をはたらいた容疑で逮捕された。略奪行為に対する発砲許可も出ている。

 パルの軍当局者は5日、死者数が100人ほど増えて1558人になったと発表した。当局は先に行方不明者の捜索期限をこの日までと区切っており、5日の捜索はパル市内の8か所を中心に行われている。ただ、がれきの下から生存者が見つかる可能性はほとんどない。

 一方、政府が開発した住宅地バラロア(Balaroa)地区では、地震に伴う液状化現象で多くの人々が泥にのまれた可能性が指摘されている。国家捜索・救助庁の広報官はAFPに対し、「民家1000戸以上が埋まっているとみられる。従って、行方不明者は1000人を超える恐れがある」と述べた。

 現在、英豪をはじめ世界各地から約20機の航空機が防水シートや医療機器、発電機など極めて重要な支援物資を積んで現地に向かっている。大幅な遅れが生じた背景には、インドネシア政府が当初、外国からの支援受け入れに難色を示し、自国の軍のみで対処可能だと主張していたためだ。しかし、被害の大きさが明らかになり、ジョコ・ウィドド(Joko Widodo)大統領は受け入れに同意した。

 国連は救援基金として1500万ドル(約17億円)の支援を表明している。また、赤十字(Red Cross)やセーブ・ザ・チルドレン(Save the Children)といった人道支援団体も現地入りしている。(c)AFP/Andrew Beatty