【10月4日 AFP】ペルーの最高裁判所は3日、アルベルト・フジモリ(Alberto Fujimori)元大統領(80)に与えられていた人道に対する罪への恩赦を無効とし、直ちにフジモリ氏の身柄を拘束するよう命じた。同国法務省が明らかにした。

 フジモリ氏が大統領令による恩赦を受けたのは昨年12月。同氏は1991年から1992年までの間に暗殺部隊が実行した大量虐殺2件を命令した罪で禁錮25年の判決を言い渡され、刑期のうち12年を終えていた。

 最大野党「フエルサ・ポプラル(Fuerza Popular)」党首で、フジモリ氏の政治権力の継承者と広く見なされている同氏の娘、ケイコ(Keiko Fujimori)氏は、「この決定は非人間的で不当だ」と反発した。

 フジモリ氏の弁護士の一人、ミゲル・ペレス(Miguel Perez)氏はチリのラジオ局RPPで、今回の決定に異議申し立てをする意向を示した。

 昨年末の恩赦は、後に汚職疑惑で辞任するペドロ・パブロ・クチンスキ(Pedro Pablo Kuczynski)大統領(当時)によるもので、人権団体やフジモリ氏による強硬な取り締まりの被害者らから抗議が相次いだ。

 クチンスキ大統領はかねて伝えられていたフジモリ氏の健康問題を理由として、人道的見地から恩赦を正当化した。だが当時、同大統領は汚職疑惑の渦中にあり、恩赦のわずか数日前に行われた弾劾決議の投票で、フジモリ氏の次男、ケンジ・フジモリ(Kenji Fujimori)氏率いる国会議員グループの棄権により罷免を逃れたところだった。

 反フジモリ派は、恩赦は明らかに、クチンスキ氏の一時的な政治的延命に対する見返りだと指摘している。(c)AFP/Carlos MANDUJANO