【10月8日 Xinhua News】古代中国の伝説的な名医・扁鵲(へんじゃく)の著作はこれまで、古代医学文献の中には基本的に残っていないとされてきた。だが、四川省にある成都中医薬大学の研究チームがこのほど、5年にわたる研究の末、扁鵲の存在を証明する証拠を発見した。これにより名医は「伝説」から抜け出した。

 同大学の梁繁栄(りょう・はんえい)、和中浚(わ・ちゅうしゅん)、李継明(り・けいめい)、任玉蘭(にん・ぎょくらん)の各氏ら30人余りの中国医学者と古典文献学専門家の教授らから成る「老官山医簡」研究チームは、5年に及ぶ研究の末、成都市北郊の天回鎮にある前漢時代の墓「老官山漢墓群」から出土した医学に関する竹簡に記載された全ての文字を解読し、注釈を完成させた。関連研究成果は年内に出版される予定。

 同大学国学院の李継明元院長は「これらの貴重な医学資料によって、中国医学の歴史が400年早まるかもしれない」と語った。2012年、「老官山漢墓群」から920本余りの医学竹簡と漆器製の人体経穴模型1体が出土した。これは中国の考古学史上、最も内容が豊富で体系が整った、理論的・臨床的価値の高い古代医学文献となっている。

 李氏は「竹簡には『敝昔』の2文字が何度となく出てくるが、これは古代の『扁鵲』の当て字だ」と説明。医簡の出土に中国内外が沸き立ち、日本や米国などの専門家も成都で関連研究をしたがっていると明らかにした。

 研究者らは、これらの医簡は前漢時代に書き写されたもので、記載された人名や地名、内容などから、この書簡の編纂年代は扁鵲が生きていた時代から遠くない戦国時代後期と推定している。(c)Xinhua News/AFPBB News